研究実績の概要 |
リチャードミズワラビのシュート頂,根,普通葉,胞子葉から全RNAを抽出し(根と胞子葉についてはduplicateを用意),polyAカラムによる精製を行った後,RNA-seq用のライブラリを作成した。また,ライブラリにおけるnon-coding RNAの検出状況を評価するため,胞子葉から抽出した全RNAについては,リボソームRNAの除去による精製(Ribo-zero精製)を行ったサンプルも用意し,併せてライブラリを作成した。 シュート頂,根1,普通葉,胞子葉1,根2,胞子葉2(polyA精製),胞子葉2(Ribo-zero精製)由来のライブラリをそれぞれ,25%, 12.5%, 25%, 10%, 12.5%, 10%, 5%の割合で混合し,次世代シークエンスを行った。その結果,全217.9Mリードを得たが,その内訳は,シュート頂 33.3%,根1 11.1%,普通葉 19.5%,胞子葉1 10.3%,根2 9.2%,胞子葉2(polyA精製)10.9%,胞子葉2(Ribo-zero精製)5.6% であった。これらをアセンブルしたところ,トータルで130,851,336塩基対,140,829本のcontigを得た。最大Contig長は 26,855塩基対,最小は224塩基対であった。また,N50のcontigサイズは, 1,736塩基対(23,777本),N90は332 (91,901本)であり,平均で929塩基対であった。一方,胞子葉2のうち,polyA精製とribo-zero精製サンプルの結果を比較すると,polyAを含まないRNA (non-codingRNAと思われる)がribo-zero精製のサンプルに多く検出されることを確認した。 各ライブラリに含まれる遺伝子の内訳については現在も解析を続けているが,種子植物の葉形成に関わる遺伝子のうち,ClassIII Homeodomain-Leicine Zipper,Class I Knotted-like homeobox,KANADI遺伝子などは,普通葉,胞子葉,シュート頂で発現が確認された。しかし,YABBY遺伝子はどのライブラリからも検出されず,YABBY遺伝子が種子植物型大葉の獲得と深く関わったとする仮説が裏付けられた。
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