研究課題
本研究では植物多細胞体制の起源と進化過程を解明するために、陸上植物とシャジクモ藻類が持つ1倍体多細胞体制と2倍体多細胞体制を遺伝子情報から比較する。シャジクモ藻類において申請者らが確立した培養系と遺伝子情報を基礎とし、さらに形態的に異なる1倍体体制を持つシャジクモ藻類を研究対象に加え、ゲノム解読により発生に関わる遺伝子を網羅的に収集する。どの遺伝子が陸上植物と各シャジクモ藻類との共通祖先に存在するか、存在する場合にどのような役割を果たしているかを解明し、多細胞体制獲得前後での遺伝子進化を特定する。平成25年度は、シャジクモについては、ゲノム配列のシーケンシングとアセンブリーを進め、発生に関わる遺伝子の配列情報を網羅的に収集した。また、トランスクリプトームデータをゲノムデータにマッピングし、遺伝子構造を推定するとともにカバー率を評価した。情報が不十分な遺伝子については、cDNAから遺伝子全長配列を決定し配列情報を補完した。いくつかの遺伝子についてはシャジクモにおける発現様式をRT-PCRによって解析した。さらに、ゲノム配列情報に基づき、生活環を通して高い発現を示すと考えられるアクチン遺伝子のプロモーターが含まれるゲノム領域を用い、外来遺伝子を発現させるコンストラクトを作製し、遺伝子導入の条件検討を進めた。コレオケーテについては、既報の培養方法では増殖速度が遅いため、培地および培養条件の検討を行い、ゲノム抽出用のサンプル調製を進めた。
3: やや遅れている
当初の計画と比べ、分譲により入手したコレオケーテの培養株の再単離と増殖に予想外の時間を要し、配列決定が遅れている。シャジクモに関しては、おおむね順調に進められた。
平成26年度は当初の計画に従い、シャジクモの遺伝子の発現解析、外来遺伝子を発現させた機能解析系の確立を進める。コレオケーテについては、無菌状態で大量培養し、高分子のゲノムDNAを調整し、配列決定を進める。
コレオケーテの培養株の再単離と増殖に予想外の時間を要し、配列決定が遅れているため。消耗品費(培養試薬、 ガラス器具、核酸抽出試薬、cDNA合成試薬、PCR試薬、塩基配列決定試薬、チップ・チューブ類、情報解析用消耗品)、旅費等(国内旅費、英文校閲料)を計上する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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