研究課題
本研究では植物多細胞体制の起源と進化過程を解明するために、陸上植物とシャジクモ藻類が持つ1倍体多細胞体制と2倍体多細胞体制を遺伝子情報から比較する。シャジクモ藻類において申請者らが確立した培養系と遺伝子情報を基礎とし、さらに形態的に異なる1倍体体制を持つシャジクモ藻類を研究対象に加え、ゲノム解読により発生に関わる遺伝子を網羅的に収集する。どの遺伝子が陸上植物と各シャジクモ藻類との共通祖先に存在するか、存在する場合にどのような役割を果たしているかを解明し、多細胞体制獲得前後での遺伝子進化を特定する。シャジクモについて、共同研究により明らかにした概要ゲノムをもとに、シャジクモの発生段階をほぼ網羅するRNA-seqデータ、および陸上植物のタンパク質のアミノ酸配列を用い遺伝子モデル構築を行い、35,883遺伝子、36,887転写産物を予測した。シャジクモに加え、コレオケーテ、クレブソルミディウム等のゲノム・トランスクリプトームデータを含め、発生に関わる遺伝子の配列情報を網羅的に収集し、植物特異的だと考えられていた多くの遺伝子のホモログをシャジクモ藻類から見いだした。いくつかの遺伝子について、シャジクモにおける発現様式をRT-PCRによって解析し、器官/細胞毎に特異的に発現する遺伝子を特定した。また、シャジクモの遺伝子をシロイヌナズナに導入し機能解析を行い、遺伝子の構造や機能、およびシャジクモ藻類と陸上植物が持つ多細胞体制の進化過程を考察した。さらに、シャジクモのゲノム配列情報に基づき、生活環を通して高い発現を示すと考えられる遺伝子のプロモーターが含まれるゲノム領域を用い、外来遺伝子を発現させるコンストラクトを作製し、遺伝子導入の条件検討を進めた。
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Phycological Research
巻: in press ページ: in press
巻: 62 ページ: 222-227
10.1111/pre.12057