研究課題/領域番号 |
24570105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
小北 智之 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60372835)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 行動生態 / 行動遺伝 / 適応進化 / エコゲノミクス / QTLマッピング / トランスクリプトミクス / 性ステロイド / 魚類 |
研究概要 |
動物の繁殖行動は近縁種間・集団間ですら著しい多様性を示すが、多様化のメカニズムを詳細に検討する上でその遺伝基盤の解明は欠かせない。本研究はゲノミックリソースが既に充実しており、繁殖システムの対照的な集団間分化を示す日本産イトヨ類のハリヨをモデル系として、これまでほとんど解明されていない魚類繁殖行動の集団間変異の遺伝基盤に切り込むものである。申請者の先行研究で明らかにされた繁殖行動変異のプロキシとしての性ホルモンシグナリングの集団間変異をターゲットとして、多角的なゲノム科学のアプローチを駆使することによって、同定が難しい自然集団の“行動”遺伝子を同定することを最終的な目的としている。 平成24年度は、QTLマッピングによって雄の血中アンドロゲン濃度の集団間変異をもたらす遺伝子座を特定するために、作出した多数のF2交雑個体のフェノタイピング(血中の11-ケトテストステロン濃度)を実施した。その結果、F2世代における 11-ケトテストステロン濃度の表現型の分離に成功した。また、一部の個体では次世代シーケンサー(イルミナHiseq2000)を用いたRADseqによるジェノタイピングも実施し、この方法の有効性を確認した。平成25年度中に、追加のジェノタイピングを行い、QTL解析によりアンドロゲン濃度の集団間変異をもたらす原因遺伝子座を特定する予定である。 次に、精巣におけるアンドロゲン合成に関わる因子を主なターゲットとして、比較トランスクリプトーム解析を行った。共通環境で育成した合計4集団を用いて、繁殖フェーズの雄の精巣から抽出したmRNA を用いたマイクロアレイ解析を行った結果、アンドロゲンの合成に関わることが知られている酵素遺伝子群のうち、生態型間で発現量が明瞭に異なる遺伝子群を検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種の実験項目において、当初の計画書通りのペースでデータが取得できているため。各実験項目の成果は「研究実績の概要」に記している。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は、当初の計画書通りのペースでデータが取得できたため、今後も同様のペースでデータを取得することによって、本研究課題中の最終目的に達することが充分可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画書通り、作成した家系を用いたQTLマッピングのために以下の項目に研究費を使用する予定である。 (1)RADライブラリー作成のため試薬類の購入 (2)作成したライブラリーの配列を解読するための次世代シークエンス委託費(研究代表者の勤務先には次世代シーケンサーが設置されていないため) (3)研究成果を学会発表するための旅費
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