研究課題/領域番号 |
24570106
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
神谷 充伸 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (00281139)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 汽水 / 塩濃度 / 種分化 / 生理特性 / 遺伝子流動 / 雑種強勢 / 無性生殖 |
研究実績の概要 |
本年度は、新たに東北・中部・近畿地方のシオグサ類を解析に加えて、rDNAのITS領域を基にリボタイプ(リボソームのハプロタイプ)の多様性や分布パターンを調べた。海産種のツヤナシシオグサとワタシオグサでは,リボタイプ数に大きな違いは見られなかったが,広域に分布するリボタイプの数,ヘテロ接合体数,有効アレル数が異なっており,ワタシオグサにおいてより高頻度で集団間の遺伝子流動が起こっていることが示唆された。ワタシオグサの方が出現時期が長いという報告があるため,それが遺伝子流動の違いに関係しているのかも知れない。淡水産種のカモジシオグサは,3種の中で最も遺伝的分化が進んでおり,リボタイプ数も最多だった。系統解析の結果,2つの系統群に分かれ,一方の系統群は全て淡水産で広域に分布していたのに対し,もう一方の系統群には汽水域に出現するリボタイプが含まれており,淡水に分布するリボタイプの出現頻度は低かった。2つの系統群が同所的に生育している集団が見られなかったことから,系統群間で至適生育条件が異なっている可能性が示唆された。 一方、新たなDNAマーカーを開発するために、アオサ藻類および緑藻類の配列情報をもとに、タンパク質伸長因子遺伝子EF1a(核)、tufA(葉緑体)、ATP合成酵素βサブユニット遺伝子atpB(葉緑体)、ルビスコ大サブユニット遺伝子rbcL(葉緑体)の一部を増幅する縮重プライマーを設計し、PCRを試みたが、いずれの場合も目的のバンドは得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天候の不順等が重なり、春季に行う予定だったサンプリングが遂行できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今春に九州および四国の海水域、汽水域、淡水域からシオグサ類を採集し終わり、現在サンプルのDNA分析を行っているところである。全部のデータをまとめて、日本進化学会で発表するとともに、投稿論文の作成に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究材料であるシオグサ類の多くは春から初夏にかけて出現するため、2014年春季に四国・九州地方でサンプリングを計画していたが、天候不順等で予定が合わず、計画通りにサンプリングを実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年春季にサンプリングを実施し、採集したサンプルの分子系統解析に使用する。
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