海産ワタシオグサでは、広域に分布するリボタイプの割合が海産ツヤナシシオグサよりも大きかった。ワタシオグサは通年生育するのに対し、ツヤナシシオグサは夏季に消失することから、生育期間の長いほど集団間の遺伝子流動の頻度が大きくなる可能性が示唆された。カモジシオグサは2つの系統群に分かれ、系統1は淡水・汽水環境のどちらにも見られヘテロ接合体の割合が7%だったのに対し、系統2は淡水環境のみで見られ、すべてヘテロ接合体であった。2つの系統群が同所的に生育している集団はほとんど見られなかったことから、系統群間で生殖的隔離が進んでいるだけでなく、生態生理学的にも分化している可能性が高いと考えられる。
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