南西諸島のリュウキュウコノハズクはケラマ海裂を挟み、分岐から約150万年を経過した北系統と南系統に区分されることを明らかにした。沖縄島の西側の小島嶼はケラマ海裂の北側に位置するが、個体の形態と声紋は南系統の特徴を示し、遺伝的にも支持された。沖縄島では北系統が優占していたが、少数の南系統も生息し、異系統間のつがいが確認され、浸透交雑が起っていることがわかった。ケラマ海裂は地史的時間経過でリュウキュウコノハズクの祖先種を分断し、種レベルの変異を蓄積させ異所性の二系統を作った。その後、沖縄周辺の小島嶼には生態学的時間スケールで移入が生じ、二系統が二次的に同所棲になり、交雑が生じ始めたと推察された。
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