研究課題/領域番号 |
24570111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
荻沼 一男 高知県立大学, 生活科学部, 教授 (30106794)
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研究分担者 |
星 良和 東海大学, 農学部, 准教授 (70332088)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハマボッス / 染色体多型 / サイトタイプ / FISH解析 / ゲノム再編 |
研究概要 |
研究代表者荻沼および研究協力者河野は9~11月に台湾の緑島および石垣島、沖縄島でのサンプリングを行った後、高知県立大学へ持ち帰ったハマボッスを鉢植えにし、採根・核型のチェックを行った。核型が決定した個体から更に採根を行い、固定した根と共にその個体を生きた状態で、研究分担者星博士へ送付した。 また、台湾産の染色体多型については、論文として公表した。その結果、台湾には全部で8サイトタイプ:2n=16(6m)、16(8m)、18(4m)、18(6m)の2型、19(5m)および20(4m)の2型が自生していることを明らかにした。 染色体識別を中心に行う本年度は、染色体の基本構造を特定するために効果的なtelomere、5Sおよび45S rDNAをプローブとしてFISH解析を行った。これまで、台湾の全8サイトタイプ中7サイトタイプ:2n=16(6m)、16(8m)、18(4m)、18(6m)の2型、20(4m)の2型、南西諸島の全18サイトタイプ中の7サイトタイプ:2n=16(6m)、16(8m)、18(4m)、18(6m)、20(4m)の3型、合計14のサイトタイプのFISH解析を行った。その結果、サイトタイプ間の系統関係をFISH解析から明らかにすることができた。このFISH解析の結果は遅くても、平成26年度中には、論文として公表する予定である。 一方、研究分担者星は、台湾、石垣島および沖縄島から採集した各サイトタイプからDNAを抽出した。そして、新規のマイクロサテライトマーカーの開発を継続的に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南西諸島にみられる多くのサイトタイプの比較解析から、ハマボッスにおける染色体分化が、単純な端部動原体型染色体(t-染色体)どうしの融合あるいは大型の中部動原体型染色体(m-染色体)の動原体部分での切断だけでは説明できないサイトタイプが存在することがわかり、このことから融合や切断以外に染色体を大きく変化させるDNA配列が存在していることが予測された。そこで本研究では、1. 日本本土型および南西諸島で見つかったサイトタイプを材料に、それぞれの染色体を特徴付けることが可能なDNA配列を選抜することを目的とした。結果的には、telomere、5Sおよび45S rDNAをプローブとして用いる方法が的確であることが判った。2. これらを蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)解析のためのプローブにして、これらサイトタイプ間での核型を大きく変えることに起因した染色体を特定することができた。3. Random Amplified Polymorphic DNA(RAPD)プライマーから得られた反復DNAおよび縦列型反復配列(short tandem repeat: STR)や単純反復配列(simple sequence repeat: SSR)などのマイクロサテライトDNAを用いて解析を行い、その染色体上にのみ検出される核型変異に関与したDNA配列を特定する研究は、継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
特に、Random Amplified Polymorphic DNA(RAPD)プライマーから得られた反復DNAおよび縦列型反復配列(short tandem repeat: STR)や単純反復配列(simple sequence repeat: SSR)などのマイクロサテライトDNAを用いて解析を行い、その染色体上にのみ検出される核型変異に関与したDNA配列を特定する研究を行う。 これらの結果と染色体のFISH解析から、ハマボッスの染色体多型におけるゲノム再編の機構を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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