軟体動物尾腔綱の発生については未だ十分な観察がなされていない。この発生研究の基盤とするため、若狭湾西部に生息するケハダスナホリムシ類のScutopus schanderiの生殖周期を調べた。連続する12か月の各月に採集した標本の生殖腺を観察したところ、産卵は1年に1回、9月下旬から10月上旬におこなわれることが分かった。産卵誘導の可能性についても検討し、9月の産卵前に採集した動物については紫外線照射海水、セロトニン-クレアチニン硫酸塩や精子による刺激によって放卵した個体を観察したが、その効果や、最適条件等の検討は今後の課題である。
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