研究課題/領域番号 |
24570120
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研究機関 | 大阪市立自然史博物館 |
研究代表者 |
初宿 成彦 大阪市立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (80260347)
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キーワード | 青森県つがる市 / 滋賀県彦根市 / MCR法 / 古気候解析 / ハネカクシ科 / 炭素年代測定 / メッシュ気候値 |
研究概要 |
最終氷期の化石発掘を8月に青森県つがる市で、10月に滋賀県彦根市で、それぞれ実施した。一部の資料は産出年代を確定させるため、炭素年代測定を委託に出し、期待していたとおりの結果が出された。産出した化石標本を検鏡できる状態にし、ハネカクシ科など、いくつかは各分類群の専門家に同定を依頼した。中には現在の化石調査地周辺では分布しないものも含まれ、興味ある成果が出つつある。 また、秋田県東成瀬村、中央アルプス、北海道雄武町・浜頓別町の主に湿原において、化石でしばしば産出する種の調査を行った。これは化石産出種が現在、どのような気候条件の下で分布しているのかを調べ、当時の気候の解析を行うことを目的としている。また、得られた標本の一部は、海外の同分野の研究者との交換に用いる予定で、これらにより、日本国外に分布する寒冷地性甲虫類(国内でも化石で産出する可能性がある)の標本資料を得る予定にしている。 成果の一部を、第四紀学会(8月)でポスター発表を行った。またQuaternary International誌へ投稿し、受理された(平成26年度に印刷予定)。また、平成24年度に訪れたアラスカの自然史に関し、普及誌に記事を書いて広く紹介した(8月)。 年度を通して、化石で産出する(orする可能性のある)種の分布を、所属する博物館の所蔵標本および文献によって拾い出した。前者については、シデムシ科、コガネムシ科糞虫類、コメツキムシ科についてまとめ、リストを出版した。 年度の終盤では、その分布地の気候をメッシュ気候値(気象庁編)と照らし合わせる作業を行い、解析の実施に向けた準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終氷期の地層から産出した化石の種を確認した。それらの種の現在の分布と気候の把握について、作業量が多かったが順調に進めることができた。次年度の推進内容へ、無事につなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の終了までに、その化石産地の最終氷期における気温を数値で示し、論文化することができるであろう。可能なら産出種を増やし、より精度の高い数値になるように試みたいと考えている。また、海外のデータや資料の収集にも努め、より客観的なデータとなるようにしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
野外調査のうち、北海道における野外調査を、天候不順や他の業務との兼ね合いで、取りやめたものがあった。 当該の調査計画は、次年度の5月中に実施を行う予定にしている。
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