研究課題/領域番号 |
24570123
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武田 茂樹 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80282854)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | バクテリオファージ / 自律的形態形成 / 分子相互作用 |
研究概要 |
バクテリオファージMuの基盤はファージが宿主に感染・吸着する際に宿主を認識して菌体膜に結合する役割を持つ。我々はこの基盤の形成に関わるgp41からgp48までのサブユニットの構造解析から基盤の分子集合と構造変化の機構を明らかにしたいと考えている。本年度はgp43とgp45の精製を行い、その複合体の精製を行った。Muファージの場合はサブユニット間の相互作用については研究が少なく、どのサブユニットがどのサブユニットと結合するかについての情報はなかった。そこでgp43に結合するサブユニットを同定するためにHis-tagが結合したgp43とさまざまなサブユニットを混合してからニッケルカラムで精製することを試みた。その結果、ニッケルカラムからはgp43だけでなくgp45が溶出し、この両者が結合する可能性が考えられた。次に個別に精製したgp43とgp45を混合してからゲル濾過クロマトグラフィーを行うと、gp43あるいはgp45単独の場合とは異なる高分子のピークが生じ、このピーク画分を電気泳動で分析するとgp43とgp45の両方のバンドが見られた。したがって、gp43とgp45の複合体が精製できたと考えた。しかしながら、gp43のバンドに対してgp45のバンドはかなりうすく、結合比は1:1ではないと考えられた。また、複合体の得られる率が非常に低く、複合体形成のための溶媒条件などが適切でない可能性が示唆された。現在、このgp43とgp45の複合体の結晶化を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
gp43とgp45が結合することがわかり、その複合体の精製ができた。また他のサブユニットについても計画通り精製が進んでいるので、概ね研究は順調である。ただし、構造解析のための結晶化についてはまだ結晶が得られる条件が見つかっておらず、具体的な進捗を得られるように今後とも努力する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
各サブユニットの精製をすすめ、構造解析のための結晶を作製する。また、いくつかのサブユニットが結合した複合体を形成させるための条件を検討する。gp46とgp48はともに分子量が小さく溶解性の悪いサブユニットであるため可溶化条件の検討が必要であるが、これまでの検討で結晶化のための試料調製が可能となる可能性がでてきたため、集中的に検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の経費はほぼ計画通りに執行したが、若干の未使用額が生じたため、平成25年度の経費と合わせて執行する。使用計画としては、サブユニットの発現と精製のための培地、カラム消耗品などの購入が主である。また、研究成果の発表のための学会への旅費と論文発表のための印刷費、英文校正費が含まれる。
|