研究課題/領域番号 |
24570123
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武田 茂樹 群馬大学, 理工学研究科, 教授 (80282854)
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キーワード | バクテリオファージ / 分子集合 / 自己組織化 |
研究概要 |
バクテリオファージMuの自律的形態形成の過程における自己組織化の仕組みを解明するために、バクテリオファージMuの構造サブユニットやそれらの複合体の精製と構造解析を行った。これまでに頭部と尾部を繋ぐネックを構成するサブユニットであるgp36の精製、結晶化、X線構造解析に成功した。また、尾部先端の基盤を構築するサブユニットを系統的に精製した結果、gp43とgp45の複合体の精製に成功し、この2つのサブユニットが複合体を形成することを明らかにした。さらに感染の際に最初に宿主菌体膜と結合する尾繊維については、尾繊維を構成するgp49とその特異的シャペロンであるgp50を精製したが、それらは複合体として得られた。特異的シャペロンとその基質サブユニットの複合体の精製例は非常に少なく、今後の結晶化および構造解析により、繊維状の尾繊維がどのように構造形成されるかについての知見が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
gp36の結晶化の構造解析を達成したことは研究計画が順調に進んでいることを示している。gp43とgp45が複合体を形成することを明らかにしたことは、研究の目的である「形態形成過程の解明」の達成において、大きな前進であった。尾繊維とその特異的シャペロンの複合体の精製に成功したことは、類似の成功例の報告が少ないことから、予想外の進捗であった。個々のサブユニットやそれらの複合体の精製や解析においては、研究全体として順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
gp36の構造解析に成功したことを踏まえ、gp36と複合体を作ると考えられるいくつかのサブユニットを精製し、複合体を得てその構造解析を行う。 gp43とgp45の複合体が得られたので、次に結合するサブユニットの探索を行う。またそれらの構造解析を行う。 gp49とgp50の複合体の精製に成功したことを踏まえ、この複合体の結晶化と構造解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予想外の進捗として、精製が困難と考えていた尾繊維gp49とその特異的シャペロンであるgp50の複合体の精製に成功した。そのため、次年度に構造解析に向けて放射光施設Spring-8への出張などが必要となり、その旅費を確保するため。 尾繊維gp49とその特異的シャペロンgp50の複合体の精製、結晶化、構造解析のための試薬代、カラムの購入費、放射光施設への旅費として使用する。
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