研究課題/領域番号 |
24570127
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
川村 出 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (20452047)
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キーワード | 固体NMR / 膜タンパク質 / レチナール / ダイナミクス / 立体構造 / 細胞膜 |
研究概要 |
本研究では固体NMR分光法を用いて、光受容膜タンパク質の構造解析と機能発現メカニズムを明らかにすることが目的であり、本年度は以下のような成果が得られた。 1. バクテリオロドプシンのO中間体を観測するために、13C安定同位体標識レチナールを含むY185F変異体株を作成し、In-situ光照射固体NMR測定を実施した。紫外可視吸収スペクトルの結果と合わせて、O様中間体のNMR信号の帰属に成功した。この信号は興味深いことに基底状態のレチナール配座と極めて類似していた。タンパク質側のNMR信号変化も同時に検出しており、より詳細に解析して構造変化の内容を明らかにしていく。In-situ光照射固体NMRの測定システムをさらに改良した内容をAdv. Biol. Solid State NMR(Book)に発表した。 2. フォボロドプシンの機能に重要な残基であるTyr174の構造変化を調べるためのNMRパルスシーケンスの整理をした。これによってレチナールとTyr174の相関信号を観測することができる準備ができた。 3. アナベナセンサリーロドプシンASRの細胞膜中での三量体構造を決定し、Nature Methods誌に掲載、PDBに登録した(共同研究 カナダ グエルフ大学)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測が難しいO中間体について、バクテリオロドプシンの変異体のIn-situ光照射固体NMR測定により、その化学シフト値を決定することに成功した。光照射-固体NMRを用いたユニークな実験結果が得られたため、順調に研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
光照射固体NMR測定により、レチナールの光異性化反応を観測することができたので、それを取り囲むタンパク質側の構造変化を引き続き調べて、光活性メカニズムに関する構造情報を集める。さらに、変異体や細胞膜の成分を変えてタンパク質の変化を観測する予定である。
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