研究課題/領域番号 |
24570132
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西條 由見子 (濱野 由見子) 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教 (00444513)
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キーワード | ナノマシン / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
本研究はべん毛の高性能潤滑回転機構の解明を目指して、ロッドの構造を結晶構造解析、低温電子顕微鏡法構造解析、生化学的解析から明らかにしようというものである。 昨年度得られた回折データからSAD法により初期位相を決定し、分子モデルの構築を行ったところ、2.0A分解能でのFlgG(47-227)の構造を明らかにすることができた。この結晶構造をすでに低温電子顕微鏡法により明らかになっている7.0A分解能のポリロッド(FlgGの変異により野生株のものに比べて長く伸長したディタルロッド)モデルにあてはめ、生体中のディスタルロッドの分子構造を明らかにした。また、計画当初は来年度行う予定であったFlgB、FlgC、FlgFの局在位置を決定する実験も行った。ロッドタンパク質欠損株のべん毛基部体を電気泳動・質量分析・低温電子顕微鏡による構造解析からFlgB、FlgC、FlgFの局在位置を決定する実験も行った。その結果、ロッドタンパク質が一つでも欠けるとロッドは構築されないことがわかり、局在性を明らかにすることはできなかったが、ロッド構築に関わる新たな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の最重点課題であったFlgGの結晶の改良と回折データ収集が想像以上に順調に進んだことで当初の計画よりも数ヶ月程早く研究が進み、今年度も順調に計画通り研究を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
生体中のディスタルロッドの分子構造が明らかになったので、この研究内容を論文にまとめ投稿する。 ディスタルロッドの構造が明らかになったので、次はプロキシマルロッドの構造を明らかにするためにFlgFタンパク質の結晶構造解析に取り組む。FlgGのときと同様にunfold領域を欠損させたFlgFの大腸菌大量発現系をすでに構築しているので、精製法の改良と結晶化を重点的に行う。良質な結晶を得ることができれば、さらにセレノメチオニン結晶の作製、回折データ収集、位相決定、分子モデルの構築と研究を先に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当研究のために必要な大型実験装置は揃っており、電動ピペット、ホットスターラー、撹拌器等の少額備品も購入する必要がなかったため。 タンパク質精製と結晶化に必要な消耗品(ゲル濾過カラム、アフィニティーカラム、培地、試薬、界面活性剤、プラスチック器具、ガラス器具、結晶化プレート、結晶化用試薬、凍結用ループ、結晶保存容器など)を購入する。研究成果発表のための論文投稿料にもあてる。
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