研究課題/領域番号 |
24570143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
座古 保 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (50399440)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アミロイド / 分子シャペロンタンパク質 / タンパク質ミスフォールディング病 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
本研究では、アルツハイマー病など、タンパク質の凝集が原因とされるタンパク質ミスフォールディング病の機構を明らかにすることを目的としている.近年、タンパク質ミスフォールディング病とよばれる、天然構造が壊れ、間違ったフォールディング(ミスフォールディング)をしたタンパク質が凝集することが原因で病気が引き起こされる例が多く見つかり、社会的問題となっている.代表的な疾病であるアルツハイマー病においては、アミロイドβタンパク質(Aβ)などの凝集体が主な病因と考えられている.一方、生体内では、分子シャペロンタンパク質がタンパク質の凝集抑制に関与していることが知られている.本研究は分子シャペロンタンパク質によるAβ他のタンパク質凝集における分子シャペロンの働きを明らかにし、臨床応用への研究基盤を明らかにすることを目指している.今年度は、分子シャペロンの一つであるスモールヒートショックプロテイン(sHsp)のAβ凝集への影響を調べた.sHspはアルツハイマー病患者脳で見つかっており、Aβ凝集への関与が考えられる.sHspは熱などのストレスに応じて会合状態を変えることでタンパク質凝集を抑制するシャペロン活性を発揮すると考えられているが、この構造ダイナミクスのAβ凝集への影響は明らかでなかった.我々はこれまでに酵母由来のsHsp(SpHsp)が温度によりオリゴマー・ダイマーの会合状態を変えることを見出だしているおり、SpHspをモデルsHspとして会合状態のAβ凝集への影響を調べた.その結果、オリゴマー状態のSpHspはAβ凝集を抑制し、ダイマー状態ではAβ凝集を抑制はしないが、無毒性のAβ凝集形成に貢献していることを見出だした.これらはsHspが異なる構造状態において、異なるメカニズムによりAβ凝集の抑制もしくは低毒性化に貢献していることを示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、アルツハイマー病など、タンパク質の凝集が原因とされるタンパク質ミスフォールディング病の機構の解明を目指し、分子シャペロンタンパク質の働きを明らかにすることを目的としている.本研究では、スモールヒートショックプロテインやプレフォルディンなどの分子シャペロンがアミロイドβやポリグルタミンタンパク質などの凝集形成への関与を解明することを目的としているが、本年度はスモールヒートショックプロテインのアミロイドβ凝集への関与機構を明らかにすることができ、研究の目的はおおむね順調に達成できていると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、アルツハイマー病など、タンパク質の凝集が原因とされるタンパク質ミスフォールディング病における分子シャペロンタンパク質の働きを明らかにすることを目的としており、今後はプレフォルディンによるアミロイドβやポリグルタミンタンパク質などの凝集形成への関与を解明する.
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次年度の研究費の使用計画 |
計画よりも値引き交渉がうまくいき次年度使用額が生じた。次年度研究費と合わせて、タンパク質発現・精製や活性評価のための試薬・消耗品や、成果発表のための旅費等に用いる予定である。
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