研究課題/領域番号 |
24570143
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
座古 保 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (50399440)
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キーワード | アミロイド / 分子シャペロンタンパク質 / タンパク質ミスフォールディング病 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
本研究ではアルツハイマー病などの、タンパク質凝集が原因とされるタンパク質ミスフォールディング病の機構を明らかにすることを目的としている。近年タンパク質ミスフォールディング病とよばれる、天然構造が壊れた (ミスフォールディングした)タンパク質が凝集することが原因で病気が引き起こされる例が多く見つかり、社会的問題となっている。代表的な疾病であるアルツハイマー病においては、アミロイドβタンパク質(Aβ)などの凝集体が主な病因であると考えられている。一方、生体内では、分子シャペロンタンパク質がタンパク質の凝集抑制に関与していることが知られている。本研究はAβなどのタンパク質凝集における分子シャペロンタンパク質の働きを明らかにし、臨床応用への研究基盤を明らかにすることを目指している。本年度は、分子シャペロンの一つであるプレフォルディン(PFD)がAβやポリグルタミンタンパク質(polyQ)凝集に与える影響を調べた。PFDは脳内で発現していることは分かっていたが、凝集性タンパク質への影響は不明であった。今回PFDがAβやpolyQ凝集を抑制していることが分かった.これらは可溶性オリゴマー構造をとっていたが、細胞毒性を示さなかった。特にAβオリゴマーに関しては毒性の高いオリゴマーと比較して、異なる抗体認識を示したことから、可溶性オリゴマーの毒性と表面構造に相関があることが明らかとなった。またポリグルタミンタンパク質の場合でも、PFD存在下では毒性の低いオリゴマー構造をとることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、アルツハイマー病など、タンパク質の凝集が原因とされるタンパク質ミスフォールディング病の機構の解明を目指し、分子シャペロンタンパク質の働きを明らかにすることを目的としている。本研究では、スモールヒートショックプロテインやプレフォルディンなどの分子シャペロンがアミロイドβやポリグルタミンタンパク質などの凝集形成への関与を解明することを目的としているが、本年度はプレフォルディンのアミロイドβおよびポリグルタミンタンパク質凝集への関与を明らかにすることができ、研究の目的は順調に達せられたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、アルツハイマー病など、タンパク質の凝集が原因とされるタンパク質ミスフォールディング病の機構の解明を目指し、分子シャペロンタンパク質の働きを明らかにすることを目的としており、今後はヒト由来のスモールヒートショックプロテインによるアミロイドβへの凝集形成への関与を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画よりも値引き交渉がうまくいき次年度使用額が生じた。 次年度研究費と合わせて、タンパク質発現・精製や活性評価のための試薬・消耗品や、成果発表のための旅費等に用いる予定である。
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