顕微鏡一分子観察によりヒトF1の回転スキームを決定し、それはバクテリアF1のものとは異なる事を明らかにした。この成果により、今まで解釈不能であった多数のウシF1のX線結晶構造の機能的解釈を行うことが可能となった。IF1による回転の阻害を分析した結果、IF1は回転を加水分解の素過程を待つ角度である90度で停止させたが、外部磁場によりヒトF1をATP合成方向に強制回転させることにより、阻害が解除される事が明らかになった。これらの結果は、IF1はATP加水分解の素過程を阻害し、ATP合成反応は阻害しないという結晶構造解析や生化学的解析結果と一致し、将来的なATP合成酵素の制御の手がかりを得た。
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