研究課題
大腸菌などのグラム陰性細菌は細胞質膜(内膜)の外側にもう一つの膜構造(外膜)を持っている。外膜の機能が保たれていることはグラム陰性細菌の生存に重要で、細菌は表層ストレス応答機構を備えて外的環境の変化に対応している。σE経路は大腸菌において最も重要な表層ストレス応答機構の一つと考えられている。σEによる制御を受ける遺伝子(σEレギュロン)の機能を明らかにすることは、表層ストレスに対する細菌の応答機構を理解する上で重要である。研究代表者らはσEレギュロンのメンバーであるyfgC (bepA)遺伝子の機能解析を行い、BepAが外膜のリポ多糖の輸送に関与する外膜タンパク質LptDのアセンブリと分解を促進することを見出した。BepAはペプチダーゼM48ファミリーに属するメタロプロテアーゼであり、アミノ末端側にプロテアーゼドメイン、カルボキシル末端側にtetratricopeptide repeat (TPR)ドメインを持つ。TPRドメインは一般にタンパク質間相互作用に関与することから、BepAもこの領域で基質と相互作用することが考えられる。BepAと基質との相互作用の様式を明らかにすることを目的として、BepAのTPRドメインを構成する全ての残基に対応するコドンに部位特異的変異を導入し、これらを一つずつアンバーコドンに置換した変異体をコードするプラスミドセットを構築した。アンバーサプレッサーtRNAと変異型アミノアシルtRNA合成酵素を利用してこれらのコドンに対応する位置に光架橋性非天然アミノ酸p-benzoyl-L-phenylalanine (pBPA)が導入されたBepA変異体を大腸菌細胞内で発現させて光架橋実験を行った結果、複数の細胞内因子がBepAと近接していることが明らかとなった。
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J. Bacteriol.
巻: 197 ページ: 1075-1082
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