研究課題
DNAにメチル基が導入される際、どのように制御されるかを理解することは、細胞分化、癌化の分子機構を明らかにするうえで重要なことである。DNAのメチル化の導入には、新たにメチル化を導入する機構だけでなく、一旦形成されたDNAのメチル化模様は、細胞分裂を超えて、正確に維持される機構の2つがある。DNAメチル化を維持する酵素として、Dnmt1が知られているが、その活性の制御機構についてはまだ充分に明らかとなったとは言えない。Dnmt1のC末端には触媒領域があり、N末端側には機能があまり解明されていない領域がある。そのN末端の機能解析をするのが、本研究の大きな目的である。試験管内の実験で、非常に短いDNAを基質に用いることで、Dnmt1のN末端に存在するRFTS領域の存在に依存して、活性に差が出ることを見出したため、本年度は、その違いが生体内でどのように機能するかについて、対応する遺伝子を胚性幹細胞(ES細胞)に導入することで調べた。ゲノム全体のメチル化レベルや、特異的ゲノム領域で変化があるかについて調べたところ、RFTS領域に依存した変化を予備的であるが見出すことができた。なお、このES細胞の系でも、RFTSが存在する場合は、野生型Dnmt1は細胞核内でDNA複製点に存在するが、RFTSに依存して局在が変化した。 そのため、Dnmt1の試験管内性質と、細胞内での機能の関連性を詳細に調べる手がかりを得た。今後、さらに詳細な解析を行い、活性制御機構と機能との相関について、明らかにできると考えている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 2件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e98554
10.1371/journal.pone.0098554.
J Biol Chem
巻: 289 ページ: 379-386
10.1074/jbc.M113.523209