研究実績の概要 |
1.ヒトMMAA蛋白質のメチルマロニルCoAムターゼ (MCM) に対する機能解析を目的としてMMAAおよびMCMの大腸菌発現系の構築を行った。MMAAについては、大腸菌での発現に最適化したコドンに改変した人工遺伝子をpET-21bに組み込んで発現プラスミドを作成した。このプラスミドと分子シャペロンDnaK, DnaJ, GrpE発現プラスミドpKJE7を一緒に組み込んだ大腸菌を用いることで、MMAAを可溶性画分に発現することに成功し、精製MMAAを得ることが出来た。MCMについては、pCold TFベクターを用いてHis6およびHis10タグを付加したトリガーファクター-MCM融合蛋白質発現系を構築し、可溶性発現に成功した。Ni-NTAアガロースカラム等を用いて蛋白精製の検討を重ねたが、いずれの場合も、機能解析には純度や量が不充分であった。また、pET-21bベクターを用いたマルトース結合タンパク質-MCM融合蛋白質発現系の構築を行い、可溶性画分に大量に発現させることに成功した。しかし、研究期間内に精製ヒトMCMとMMAAを用いた機能解析まで行うことは出来なかった。 2.Klebsiella oxytocaのジオールデヒドラターゼ (DD)/DD再活性化酵素系 (= DD再活性化系) におけるB12再生系酵素 (B12アデノシル化酵素) の機能比較を行い、本菌が有するCobA,PduO,EutA 3種類のB12アデノシル化酵素の中で、CobAとPduOがDD再活性化系におけるアデノシル化活性が高いことを明らかにした。一方、単独でのB12アデノシル化活性はPduOが最も低かったことから、PduOはDD再活性化系に特化したB12アデノシル化酵素であることが分かった。 3.サブユニット構造や活性部位アミノ酸の一部が既知のグリセロールデヒドラターゼと異なる特徴をもつ根粒菌由来GD類似酵素について大腸菌発現系の構築を行い、蛋白精製および機能解析を行った。その結果、本酵素はアミノ基を有するジオール化合物に特異的な新奇デヒドラターゼであることが明らかとなった。
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