研究課題
基盤研究(C)
本年度は、好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatusのゲノムDNAからクローニングしたメタロチオネイン遺伝子 tmtA (遺伝子ID: slr1311) の上流にシアノバクテリア由来の高発現用プロモータを連結した発現プラスミドDNAを構築して大腸菌に導入して、TmtAの精製条件の検討を行った。破砕した4Lの大腸菌から水溶性画分を集め、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過を行い、大量精製を試みた。TmtAは56アミノ酸から成る小さな金属結合タンパク質で、紫外光に吸収のあるアミノ酸は2つしかなく、また、CBBでも染色が難しいため、精製過程におけるタンパク質定量がうまくいかなかった。そこで、タンパク質量の絶対量の定量の代わりに、濃度の分かっている分子量の近いインシュリンとともに質量分析を行い、インシュリンとTmtAの比率から、液体クロマトグラフィーに於けるTmtAを最も多く含むのフラクションを選ぶ手法を試みた。質量分析でのデータに確実性を持たせるために、それぞれのフラクションを10回は測定して平均を取った。その結果、再現性が得られ、最終的に他のタンパク質バンドの無いTmtAを得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
予定では結晶化条件の検討まで進むつもりであったが、大量精製のためにカラムの種類を変えたために、条件検討に時間がかかった。また、精製対象のTmtAタンパク質の定量方法に問題があることが分かったので、比較による定量方法を考え、再現性を取るために何度も実験を行ったために、精製までしか進むことが出来なかった。しかし、おおよその予定は順調に進んでおり、来年度には結晶化条件の検討に進むことができるはずである。
今後も精製タンパク質の定量方法については課題として残っているが、指標となるタンパク質との比較によってある程度のタンパク質量を見積もり、結晶化条件を検討したい。更に、大量培養を行い、一度に精製できるタンパク質の量を増やし、出来るだけ沢山の結晶化条件を検討したい。
該当なし
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