研究課題
次世代シーケンサーによる腸内細菌叢解析を行ったところ、TG-RNAiにより、腸内細菌叢が変化することが判明した。TG-RNAi系統が短命である原因を詳しく調べるために、腸管より細菌を単離した。その結果、A属2種とL属1種の腸内細菌の単離に成功した。単離したA属2種はいずれも16S-rDNA 配列が完全に一致する種がデータベース上になく、新種と考えられた。次世代シーケンサーによる解析で、主要な腸内細菌として検出されたP属については、今回はハエ腸管から単離出来なかった。これまで大型昆虫から囲食膜の構成タンパク質がいくつか明らかにされており、R&Rモチーフを含有するキチン結合性タンパク質であった。データベースで相同遺伝子を調べたところ、ハエゲノム上には、3種の遺伝子(ここでは遺伝子A、B、Cとする)が存在した。ハエの各組織における遺伝子CのmRNA量を定量PCRにより解析した結果、中腸における発現量が一番高いことが判明した。次に、タンパク質Cが囲食膜を構成するタンパク質であるかを確かめるため、囲食膜透過性評価の実験を行った。遺伝子CをRNAiしたハエにおいて、コントロールと比較すると、蛍光ラベルしたデキストラン粒子が腸管上皮まで広がっている様子が確認され、タンパク質Cが囲食膜形成に寄与していることが示唆された。組換え体のタンパク質Cを調製し、TGの合成基質であるダンシルカダベリンをTG存在下で作用させたところ、TG依存的にダンシルカダベリンがタンパク質Cに取り込まれることが分かった。タンパク質Cの抗体を用いて、ハエ成虫全身のタンパク質をウェスタンブロットにより解析したところ、単量体の分子量ではなく、ゲルトップに高分子のバンドとして検出された。また、腸管から抽出した腸管タンパク質を用いてウェスタンブロットしたところ、ゲルトップに高分子のタンパク質Cに対する抗原バンドが確認された。
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