研究課題/領域番号 |
24570167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
亀高 諭 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10303950)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
ショウジョウバエにおけるライソゾーム関連オルガネラの形成機構を明らかにする目的でクラスリンアダプターAP-1の発現調節実験を行った。RNAi法および変異体を用いた解析を行った結果、AP-1の発現低下によりショウジョウバエ成虫の複眼において顕著な色素顆粒の蓄積が観察されたことから、複眼色素細胞における色素顆粒形成にAP-1が重要な役割を担っていることが明らかになった。さらに、色素顆粒の代謝に関わる分子機構を明らかにする目的で、色素顆粒を標識するためのツールとして、色素顆粒上に局在するABCトランスポーターをコードするwhite, Scarlet遺伝子のクローニングを行い、GFP-及びmCherry-タグを付した両遺伝子を作成した。同時に両遺伝子産物に体する抗体を作成中である。 個体を用いた解析に加え、ライソゾームの生理的意義を明らかにする目的で、ショウジョウバエ培養細胞系を用いたライソゾーム酵素輸送機構の解析を進めた。Schneider S2細胞系を用い、恒常的にライソゾーム酵素輸送体であるLerp遺伝子をノックダウンした細胞株(Lerp-kd細胞)を作成した。Lerp-kd細胞はライソゾームの蛋白質分解酵素であるcathepsinDのライソゾームへの輸送に欠損を示した事から、Lerp依存的に輸送されるリガンドの解析に有用であることが示された。さらにLerpリガンドを探索するために同細胞から分泌される糖蛋白質を様々なレクチンを用いて回収し、質量分析により同定を行った。現在、これらの解析で得られた分子の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては哺乳動物よりも遺伝子重複性の少ないショウジョウバエをモデル系として用い、(1)ライソゾーム及びライソゾーム関連オルガネラ(LRO)への蛋白質輸送に関わる遺伝子を網羅的に探索し、(2)得られた関連遺伝子の哺乳動物オルソログを単離しそれらの分子機能解析を行うことを目的としている。これまでにAP-1変異体等を用いた解析からショウジョウバエ複眼における代表的なLROである色素顆粒形成にクラスリンアダプターが関わることを示すことができた。また、ライソゾーム酵素のターゲティング機構を明らかにするための細胞モデル系も確立でき、今後これらの解析を通して、ライソゾーム/LROの生合成及び生理機能の維持に関わる分子メカニズムを解明し、さらにライソゾーム/LROの機能不全により引き起こされる関連疾患の発症メカニズムを分子レベルで理解するための準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はほぼ当初の予定通り進んでおり特に方針の変更はない。 主要な研究計画として、色素顆粒マーカーを作成する事を目的として、マーカー遺伝子の発現系及び抗体作成を行う。さらに培養細胞系を用いた生化学的解析により得られた知見を元に、ライソゾームの生理機能の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度において人件費がかさむ可能性があったために前倒し申請を行ったが、前倒し分の一部が次年度使用分として残った。これに本年度分の研究費とを合わせて、当初の研究計画に従い研究を遂行する。 使用内訳としては主に生化学実験試薬を初めとする消耗品であるが、上記研究計画に伴い、抗体作成及び遺伝子導入ショウジョウバエの作成費用を中心とした支出が見込まれる。
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