研究課題
ヒトiPS/ES細胞マーカー抗体として汎用されているTRA-1-60抗体、TRA-1-81抗体はケラタン硫酸を認識する抗体であり、SSEA-3抗体、 SSEA-4抗体はグロボシリーズの糖脂質を認識する抗体である。しかしながら、これらの抗体は、ヒトiPS/ES細胞ばかりでなくヒトEC細胞(胎児性がん細胞)をも認識する欠点を持つ。私たちは、ヒトEC細胞を認識しないでヒトiPS/ES細胞を認識する抗体を産生するハイブリドーマ2種の作成に成功した。このうち、R-10GはTRA-1-60抗体などと同様にケラタン硫酸を認識する抗体であり、一方、R-17Fは、SSEA-3抗体などと同様に、膜脂質を認識する抗体であった。平成25年度までの研究により、R-10GはTRA-1-60抗体、TRA-1-81抗体と同様に、ヒトiPS/ES細胞に高発現するムチン様膜糖タンパク質であるポドカリキシン分子上に発現することを明らかにしている。また、ヒト各種組織切片を用いた免疫組織染色により、R-10GはヒトiPS/ES細胞以外に脳組織に強く発現することを見い出していた。平成26年度の研究において、私たちは、R-10Gのエピトープは,脳では、プロテインチロシンホスファターゼ(PTP)-ZETA (ホスファカン)に発現していることを明らかにした。PTP-ZETAは中枢神経系に発現し、神経系ネットワークの形成や安定化などに関与すると考えられており、R-10Gのエピトープがこれらの機能調節に関与する可能性を示唆しており興味深い。また、予備実験の結果から、R-17Fは細胞膜糖脂質を抗原とすると考えられていた。平成26年度は、ヒトiPS細胞をクロロホルム/メタノール(2/1, v/v)で処理し、全脂質を抽出し、これを分取TLCで分画する方法により、R-17F抗原を精製することに成功した。
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