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2013 年度 実施状況報告書

やわらかなタンパク質Bachのリガンド分子による制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24570175
研究機関東北大学

研究代表者

村山 和隆  東北大学, 医工学研究科, 准教授 (40400452)

キーワード天然変性タンパク質 / 構造変化 / ヘム結合 / X線小角散乱
研究概要

Bach2タンパク質は従来より精製タンパク質として調製することが著しく困難であった。本研究課題においてはこれまでに、安定して調製可能なコンストラクトを検討し、331-520という領域で比較的良好に精製サンプルが調製できることを見出し、実験に用いている。この領域はプロテアーゼ限定分解の実験では何らかのドメイン様構造を有する部分ではないかと予想された。また、ヘム結合に重要であると考えられるCPモチーフを3か所含んでおり、実際、333-839という長い領域での結合実験の結果と非常によく似た結合パターンを示した。これはこの領域がヘムの結合において非常に重要であることを示していると考えられ、Bach2タンパク質の解析を進めるうえで有意義な領域であると思われる。この領域に注目して物理化学的解析を進める一方、配列のバイオインフォマティクス的解析を進めた。その結果、Bach2が通常の2次構造の組み合わせからなる立体構造を保持しないことが予想される一方、完全なランダムコイルから予想される性質にも合致しないことが理解された。SAXS測定によるヘムの有無でのクラツキープロットの相違は興味深いものであり、このタンパク質がわずかではあるが、ヘムの有無によって2次構造の誘起などとは異なる構造変化を示すことがわかった。特にヘムのある場合にややコンパクトな構造をとる可能性を示した。現在のコンストラクトは広い意味で「天然変性タンパク質」と考えられるが、これまでの結果を考えると、ヘムによる変化は天然変性タンパク質の間での状態変化だと考えることができる。このような変化は構造変化の連続性と多数のヘム結合を考える場合、タンパク機能のコントロールにおいて非常に興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本タンパク質は、330-520の発現領域で、大腸菌発現系を用いた試料の調製が進められることがわかっている。これまでの実験ではこの領域に注目して進めている。前年度までにおいてタンパク質の調製に成功し基礎的な物理化学的解析(分析超遠心、動的光散乱、CDスペクトル、ヘム結合解析、SAXS解析など)について進めることができたが、これらの結果について現在とりまとめを行いつつある。特にCDスペクトルによる結果ではヘムの有無で変化が見られないものの、SAXS測定では構造変化が確認されており、これらの結果の解釈について検討し、論文として取りまとめを進めた。一部の結果は現在論文として投稿できる段階まで進んでいる。

今後の研究の推進方策

これまでの研究でBach2タンパク質の性質について多くのことが理解されてきた。その結果、このタンパク質は天然変性タンパク質としての性質を示しており、溶液状態での分析が有効であることがわかった。よって分光解析、質量分析ならびにX線小角散乱などを中心に、溶液状態での測定で構造情報の取得ならびにBach2の本質的性質の解明を進め、論文等などを通した結果の取りまとめと公表を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Heme binding region of Bach2 as intrinsically disordered protein2013

    • 著者名/発表者名
      村山和隆、渡部‐松井美紀、五十嵐和彦
    • 学会等名
      日本生物物理学会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      20131028-20131030
  • [学会発表] ヘムに制御される天然変性タンパク質Bach2の制御機構の解明2013

    • 著者名/発表者名
      渡部-松井美紀、村山和隆、松井敏高、齋藤正男、五十嵐和彦
    • 学会等名
      日本蛋白質科学会
    • 発表場所
      とりぎん文化会館(鳥取市)
    • 年月日
      20130612-20130614

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公開日: 2015-05-28  

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