タンパク質周囲の水和水は,タンパク質の構造の安定性やダイナミクスに大きく影響することでその動作メカニズムに寄与している.本研究では,タンパク質周囲の水和水の性質を解析する手法を開発し,筋タンパク質であるアクチンの水和水の解析を行った.柔軟なリンカーを介して蛍光色素をアクチンに結合することで蛍光色素を水和層中に係留し,LN光変調器を使って開発した高精度周波数領域蛍光装置で時間分解蛍光偏光測定を行った.ここで得られた蛍光色素の回転ブラウン運動の解析値から,アクチン周囲の水和層の流体特性についての情報が得られた.本研究で開発した手法は,タンパク質に対する水和の役割の研究を進めるのに有用である.
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