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2012 年度 実施状況報告書

二つのコンデンシンによるM期染色体動態の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 24570204
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

木下 和久  独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (60447886)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード該当なし
研究概要

本研究の目的は、染色体構築に必須なタンパク質複合体「コンデンシン」を組換えサブユニットから再構成し、その分子機能と制御を解明することにある。研究代表者はコンデンシン複合体発現系の構築を試み、コンデンシンIとIIの二種類の複合体について高い収量と純度で効率よく発現・精製できる発現系の構築に成功した。当該年度における研究実施計画のもと、この発現系における発現および精製効率の改善化を試み、目的の生化学アッセイに用いるのに十分量の高濃度かつ高純度の精製コンデンシン複合体を得られる条件を見出した。この発現・精製方法の最適化により、野生型のホロ複合体のみならず特定のサブユニットを欠失させたり、変異を導入したりする実験操作によって、個々のサブユニットあるいはそのドメインの機能解析に実際に着手出来るようになったという点で、今後の本研究の推進するための基盤として位置付けられる重要な成果である。
最適化条件において発現・精製した各種の組換え複合体を、内在性コンデンシン複合体を免疫除去したツメガエル卵細胞抽出液にadd back(添加)し、染色体構築における機能を生理的条件下で検定した。その結果組換え体のコンデンシンI ホロ複合体が染色体軸に集積するとともに染色体凝縮を引き起こすこと、そしてそのホロ複合体のクロマチン上への標的化と染色体軸への集積において、三種類のnon-SMCサブユニットが各々異なる役割を果たすことを明らかにした。この成果は、これまで他の実験系を用いた解析によって報告されていたコンデンシンIのnon-SMCサブユニットの役割からは全く予想されていなかったものであり、本研究の組換え体を用いた再構成複合体によるアプローチの有効性を明確に示している。引き続きこのアプローチを推進することにより、コンデンシンの機能および制御機構の分子レベルでの解明にさらなる進展が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の当初の目的の通り、組換え体サブユニットからなるコンデンシン複合体を再構成し生化学的アッセイによりコンデンシンの機能と制御機構を分子レベルで解析できる実験系を確立することが出来た。特にコンデンシンI特有の機能の解析が進展したため、コンデンシンIのnon-SMC制御サブユニットの役割の解明を前倒しにして進めた。SMCタンパク質のATPaseサイクルの役割の解明も進んでおりぼほ順調に進展している。

今後の研究の推進方策

現在までに得られた研究成果に基づいて、今後も組換えサブユニットからなる再構成コンデンシン複合体を用いた研究を推進する。特にコンデンシンI複合体固有の機能の解析が先行して進展し、コンデンシンIの三種類のnon-SMCサブユニットがそれぞれ特異的な役割を持つことが明らかになりつつある。染色体構築におけるコンデンシンIの分子機能を解明するためには、CAP-D2、CAP-G、CAP-Hの三つのnon-SMCサブユニットの個々の機能解析を進めることが重要かつ有効であるという判断の下、コンデンシンIの解析に注力する。具体的には、それぞれのnon-SMCサブユニットが、コンデンシンIのDNAクロマチンへの標的化、染色体軸への集積、染色体の構造変化の三つの過程にどのように貢献するのか、またそれぞれの過程にSMCタンパク質のATPaseサイクルがどのようにカップリングしているのかを明らかにすることを目標として、引き続き研究を推進していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

現在までの研究の遂行時と同様に、研究費の大半はタンパク質の発現および精製にかかる分子生物学実験用の試薬、実験器具および消耗品の購入に研究費を使用する予定である。また研究を推進するうえで必要な研究の情報収集と討論、および研究成果の発表のための旅費としても、研究費を使用する。H24年度研究が順調に進みかつ学会に不参加だったために使用しなかった予算については、H25年度において消耗品の購入費および旅費として使用する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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