研究課題
ユビキチン化タンパク質を選択的に分解する真核生物の26Sプロテアソームは触媒活性を持つ20S CP (core particle)と20S CPの活性を調整する19S複合体からなる。古細菌と一部の真正細菌に保存された原核生物の20S CPはキモトリプシン様活性のみを持つが、真核生物ではカスパーゼ様活性、トリプシン様活性、キモトリプシン様活性の3種類が保存されている。また、真核生物特有の細胞内小器官であるミトコンドリア機能の維持にユビキチン-プロテアソームシステムが必要であることが分かってきている。さらに19S複合体は真核生物のみに存在するが、この大きな複合体がどのような働きを持っているのか不明なままである。このような背景を踏まえ1)20S CPの3種類のペプチダーゼ活性の意義 2)ミトコンドリアが正常に働くために必要なプロテアソーム機能 3)19S 複合体サブユニットの機能解析、以上3点の項目に重点を置き原核生物では増殖に必須でないプロテアソームが、何故真核生物において増殖に必須となったのかを明らかにすることを目的に研究を行った。最終年度において1)に関してはカスパーゼ様活性を担うβ1サブユニットの変異株内で過剰発現させた時に、β1変異株の増殖を阻害するようなタンパク質を4つ得ており、生理的な条件においても基質となっているかどうかの確認中である。2)に関してはプロテアソームの変異でミトコンドリアの変異が抑圧されるために必要な遺伝子を同定し、この遺伝子産物の増加によってミトコンドリアの変異が抑圧される仕組みの解明に取り組んでいる。3)に関してはリッドサブユニットRpn8とRpn3の変異株を作製し、その変異を抑圧する多コピーサプレッサーや偽復帰変異の解析を行っていた。今年度は新たに19S複合体サブユニットRpn2に関する変異を単離同定した。
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