研究課題/領域番号 |
24570209
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中村 信大 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (80361765)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ユビキチン / 脱ユビキチン / ミトコンドリア / 小胞体 |
研究概要 |
タンパク質の品質管理は細胞機能の維持に必須なシステムであるが,その作用機序は十分に解明されていない。私たちが見つけた膜貫通型の脱ユビキチン化酵素は,小胞体やミトコンドリアに局在してタンパク質分解に関与する新しい制御因子であることが分かった。本研究では,これらの脱ユビキチン化酵素や新規のユビキチン化酵素の機能解析を行い,オルガネラにおけるタンパク質分解の分子メカニズムと細胞生理的な意義を明らかにして,タンパク質品質管理機構の理解に役立てることを目指すものである。①今年度は,約50種類あるヒトの膜貫通型E3酵素のうち,特に解析があまり進んでいないもの(約25分子)を同定し,培養細胞に発現させて細胞内局在について調べた。幾つかの分子が小胞体に局在することを認め,小胞体関連分解など機能することが予想された。その中のRNF186は潰瘍性大腸炎との関連が報告されており発症メカニズムを知る上でRNF186の機能解析は何らかの知見を与えてくれるものと考えた。PCR法によりRNF186が腸や腎臓に多く発現することが認められたので,これらの組織での発現細胞の特定をin situ ハイブリダイゼーション法により行った。RNF186は大腸や腎尿細管の上皮細胞に発現することを確認した。現在,基質同定を目的として現在酵母ツーハイブリッド法を行っている。②ミトコンドリアの形態調節に関わるユビキチン化制御分子としてユビキチン化酵素MARCH5と脱ユビキチン化酵素USP30を同定しているが,これらの分子の機能調節機構を解明するため相互作用分子の探索をしたところ,興味深いことにUSP30とMARCH5が結合することを認めた。この結合によりMARCH5の自己ユビキチン化が負に制御されることを示す結果を得たことから,USP30がMARCH5の分解制御を行いE3活性の調節を行っている可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にあるミトコンドリアユビキチン制御システムの制御機構の解明にヒントを与えてくれる新たな結果を得ることができ,これをもとに機能解析を進めることができている。また,未同定の膜貫通型ユビキチン化酵素の同定と機能解析も予定通り進んでおり,疾患との関連が予想されている分子の機能解析にも着手することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
計画通り引き続き①小胞体脱ユビキチン化酵素USP19の機能解析と活性調節機構の解明,②ミトコンドリアユビキチン化システムの生理機能の解明,③新規膜貫通型ユビキチン化酵素RNF186の基質分子の同定と疾患発症メカニズムとの関連の検討を目指して研究を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究推進に必要な消耗品代(細胞培養用品,生化学試薬,抗体購入費など)や研究発表(学会参加費)に充てる。また,事務補佐員の人件費に使用する予定である。
|