研究課題
基盤研究(C)
本研究では、野生型ショウジョウバエ初期胚とdG9a変異系統初期胚からそれぞれ全RNA を抽出し、網羅的解析を行うことにより、初期胚でのdG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索を行う。またそれと並行してdG9aが誘導する複眼形態異常(rough eye表現型)を指標とした遺伝学的スクリーニングを実施し、複眼形成過程でのdG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索とそれらの生体内機能解析を行う。そして胚発生初期の遺伝子転写スイッチのエピジェネシス制御の仕組みと成虫個眼を構成する円錐細胞や色素細胞分化のエピジェネシス制御の仕組みを理解することを目的とする。1) マイクロアレイを用いた初期胚でのdG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索:野生型ショウジョウバエ初期胚とdG9a変異系統初期胚をそれぞれ収集し、全RNAを抽出した。マイクロアレイ解析よりも高感度なRNA-seq解析を行い、野生型ショウジョウバエ初期胚で発現するmRNA群とdG9a変異系統初期胚で発現しているmRNA群を比較した。これによりdG9aの消失により、発現レベルが顕著に増加する遺伝子群として体節形成遺伝子群が同定できた。今後これらの遺伝子については野生型系統と-G9adG9a変異系統胚でRNA in situハイブリダイゼーション法を行い、胚での時間的・空間的発現パターンとdG9a変異によるその変化を調べる。2) 複眼形態異常(rough eye表現型)を指標とした遺伝学的スクリーニングによる複眼形成過程でのdG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索:ヒストンメチル化酵素dG9aをショウジョウバエ複眼原基細胞にて大量発現させると成虫複眼形態が異常となる。この表現型を指標とした大規模遺伝学的スクリーニングにより、EGFR経路に関わる遺伝子が遺伝学的相互作用因子として同定できた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画の通りに、野生型胚とdGa突然変異系統胚から抽出したmRNAを用いたRNA-seq解析により、dG9aの消失により発現レベルが顕著に増加する遺伝子群として体節形成遺伝子が同定できた。またdG9aが誘導する複眼形態異常を指標とした大規模遺伝学的スクリーニングにより、EGFR経路に関わる遺伝子をdG9aと遺伝学的相互作用する遺伝子として新たに同定した。このように研究はおおむね順調に進展している。
RNA-seq解析により、dG9aの消失により発現レベルが顕著に増加する体節形成遺伝子群については野生型系統とdG9a変異系統胚でRNA in situハイブリダイゼーション法を行い、胚での時間的・空間的発現パターンとdG9a変異によるその変化を調べる予定である。またdG9aと遺伝学的相互作用する遺伝子として同定したEGFR経路に関わる遺伝子群は成虫複眼のコーン細胞や色素細胞の増殖・分化に関わることが知られている。dG9a過剰発現系統では、成虫複眼のコーン細胞や色素細胞の異常が見られるので、両細胞の増殖・分化過程でのdG9aとこれらの遺伝子との関連について解析する予定である。
RNA in situハイブリダイゼーション法の実施に必要なRNAプローブ作製に必要な試薬の購入に充てる。また網膜に存在するコーン細胞や色素細胞の検出に用いるショウジョウバエ系統の購入や抗体試薬の購入にも使用する。またショウジョウバエ飼育用管ビンやエサの購入にも研究費を使用する。6月に名古屋で開催される日本細胞生物学会年会や12月に神戸で開催される日本分子生物学会年会の参加旅費にも使用する。京都工芸繊維大学オンライン物品請求システム画面の確認ミスにより、8,505円の残額が生じた。この残額8,505円は、次年度の研究に必要なショウジョウバエ飼育用管ビンの購入に使用する。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (8件)
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