研究課題
本研究では、野生型ショウジョウバエ初期胚とヒストンメチル化酵素dG9aの突然変異系統初期胚の全RNAの網羅的解析を行うことにより、初期胚でのdG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索を行う。またそれと並行してdG9aが誘導する成虫複眼形態異常(rough eye表現型)を指標とした遺伝学的スクリーニングを実施し、dG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索を行うことを目的とした。1) 初期胚でのdG9a標的候補遺伝子のゲノムワイド探索:前年度までに、dG9aの突然変異系統が胚発生の遅延を示すことと、この系統で体節形成遺伝子群の発現上昇が見られるが、時間的・空間的な発現パターンには変化が見られないことを明らかにしていた。これらの知見をまとめて論文投稿したが、1種類のdG9a突然変異系統での結果であるとの批判を受け、染色体欠失変異とのヘテロ接合体を作製し、得られた知見がバックグラウンド変異によるものでないことを証明した。また体節形成遺伝子群のいくつかの遺伝子について、定量的RT-PCR法での解析結果を加えて、RNA-seq法によって得られた結果を裏付けた。現在リバイス版を再投稿中である。2)成虫複眼形態異常を指標とした遺伝学的スクリーニング:前年度までにEGFR経路に関わる遺伝子群やオートファジー関連遺伝子群をdG9a標的候補遺伝子として同定し、これらの知見をまとめた論文として投稿準備を進めつつある。またオートファジー関連遺伝子群が候補遺伝子として同定できたことに基づき、dG9a突然変異系統を飢餓状態においたところ、これが飢餓ストレスに高い感受性を示すことが明らかになった。さらに飢餓状態においてもdG9a突然変異系統では、オートファジーの誘導がかからないことが明らかとなった。この発見は、まだ良くわかっていないオートファジーのエピジェネティック制御を解析する上で大きな意義がある。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (18件)
Oncogenesis
巻: 3 ページ: e98
10.1038/oncsis.2014.13.
J. Cell Sci.
巻: 127 ページ: 3066-3078
10.1242/jcs.144501.
PLoS One
巻: 9(8) ページ: e99519
10.1371/journal.pone.0099519.
Exp. Cell. Res.
巻: 326 ページ: 36-45
10.1016/j.yexcr.2014.06.004.
American J. Cancer Res.
巻: 4(4) ページ: 325-336
PMID: 25057436
BMC Biochemistry
巻: 15 ページ: 11
10.1186/1471-2091-15-11
Cell Struct. Funct.
巻: 39 ページ: 113-124
PMID: 25311449
Sci. Rep.
巻: 4 ページ: 7196
10.1038/srep07196.
Protein Peptide Lett.
巻: 21(7) ページ: 624-630
10.2174/0929866521666140403125959