研究課題
前年度の平成26年中に、ADAM17によるHB-EGFの切断機構について培養系での解析を予定していたが、この解析でHB-EGFの受容体としてErbB4が機能することが示唆されたため、これを生体レベルでも検証する必要が生じ、ErbB4 KOマウスを海外より入手・解析することとなった。そして本年度において、入手したErbB4 KOマウス及びその胎仔弁由来細胞を解析したところ、野生型に比べてその増殖性が昂進していることが認められた。さらに、ErbB4のスプライシングバリアントの各フォーム(切断型JM-aあるいは非切断型JM-b)を野生型あるいはErbB4 KO細胞に導入することで、このうち切断型JM-aタイプの方が、ErbB4 KO細胞の増殖性昂進異常を正常に戻すことができたこと、逆に非切断型JM-bタイプの導入によって野生型細胞の増殖性が昂進したことなどから、HB-EGFによる心臓弁間質細胞の増殖抑制には、受容体としてErbB4が関与することを明らかにし、さらにこの活性化に伴ってADAM17によるエクトドメイン・シェディングとそれに引き続くpresenilin-1による膜内切断、そしてこれらによって生じるErbB4細胞内領域ICDによる各シグナル経路の活性化が重要であることが強く示唆する結果を得た。
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