研究課題/領域番号 |
24570215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安原 徳子(垣内徳子) 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423152)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 核―細胞質間分子輸送 / 初期胚発生 / importinα / 情報伝達制御 |
研究概要 |
本研究では、細胞の核―細胞質間蛋白質輸送システムによる胚発生の制御機構を明らかにする。申請者がこれまでにマウス胚性幹細胞(ES細胞)を用いて細胞分化に深く関わることを明らかにした輸送受容体importinαに焦点を絞り、ノックアウトマウスの解析を通してマウス胚発生過程での機能およびその発現制御のメカニズムを解明する。輸送受容体importinαは、ES細胞を用いた研究から、動物の初期胚発生に重要な役割を果たすことが示唆されているにも関らず、ノックアウトマウスの作成及び解析は行われていない。従って、本研究による成果には世界に先駆けた新たな胚発生機構の解明につながり、発生異常や不妊治療などへの応用が期待される。 本年度は、ノックアウトマウスの作成のための遺伝子コンストラクトの作成を試みた。importinαにはpshudo geneも存在するため、慎重に作成を進める必要があり、現在適切な方法を決定する作業に取り掛かっている。また、コンディショナルノックアウトマウスを用いた場合、どの発生時期、部位に注目すべきかを検討するため、マウスES細胞を用いてimportinα結合タンパク質の解析を進めた。結果、核抽出画分より、多くのクロマチンリモデリング関連因子、転写関連因子などを同定した。また、これらの結合タンパク質はES細胞の分化段階により、その種類が大きく変化することが分かった。これらの結果をもとに、今後さらに解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ノックアウトマウスの作成のための遺伝子コンストラクトの作成を試みた。当初の予定では単純な手法により構築可能とみていたが、importinαにはpshudo geneも存在するため、慎重に作成を進める必要があり、現在適切な方法を決定する作業に取り掛かっておいる。また、同時にマウスES細胞を用いてimportinα結合タンパク質の解析を進めた。結果、核抽出画分より、多くのクロマチンリモデリング関連因子、転写関連因子などを同定した。importinα結合タンパク質のうち、細胞分化に深くかかわる分子を特例で切れば、コンディショナルノックアウトマウスを用いた場合、どの発生時期、部位に注目すべきかを検討する際の有力な情報となる。以上より、研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は主にノックアウトマウスの作成のための遺伝子コンストラクトの作成を試みた。引き続き、ノックアウトマウスの作成をするとともに、本年度に同定したimportinα結合タンパク質の分化における機能解析を進める。特に、分化に関わる転写因子およびクロマチン関連因子とimportinαがどのように相互作用するかを明らかにしたい。また、得られたimportinα結合タンパク質には核以外に存在するものも多く見受けられた。これらとの相互作用が見いだせれば、importinαの未知の機能の発見につながる可能性があり、解析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は主にノックアウトマウスの作成のための遺伝子コンストラクトの作成を試みた。そのため、マウス飼育にかかる費用が生じず、次年度使用額が発生した。今後、ノックアウトマウスの作成が進み、マウスの飼育量が多く発生すると思われるため、翌年度以降の請求額と合わせて使用する。
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