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2013 年度 実施状況報告書

個体発生における核―細胞質間蛋白質輸送受容体の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24570215
研究機関大阪大学

研究代表者

安原 徳子 (垣内 徳子)  大阪大学, 生命機能研究科, 特任研究員(常勤) (90423152)

キーワード核―細胞質間分子輸送 / 初期胚発生 / importinα / 情報伝達制御
研究概要

本研究は、細胞の核―細胞質間蛋白質輸送システムによる胚発生の制御機構を明らかにすることをめざす。マウス胚性幹細胞(ES細胞)の分化に深く関わる輸送受容体importinαに焦点を絞り、ノックアウトマウスの解析を通して胚発生過程での機能を解明する。輸送受容体importinα1(KPNA2)は、ES細胞を用いた研究から、動物の初期胚発生に重要な役割を果たすことが示唆されているが、ノックアウトマウスを用いた解析はいまだ行われていない。この課題に取り組み、核―細胞質間蛋白質輸送システムが関わる胚発生機構の解明につなげる。
作年度は、従来の方法を用いてノックアウトマウスの作成のための遺伝子コンストラクトの作成を試みた。しかしながら、 当初の予定通りに進まず、 importinα1は従来の方法でノックアウトマウスを作製するのが困難であると判断した。そこで、最近新たに確立され有効であるとされる、CRISPRを用いた遺伝子改変ツールを使用し、ノックアウトマウスの作成を試みた。全長のノックアウトは困難であったが、なるべく多くのエクソンを欠失するようにいくつかのデザインを構築して実施したところ、 KPNA2遺伝子の片アリールを欠いたヘテロマウスの作成に成功した。現在はこのヘテロマウスを用い、ホモ欠損マウスの取得を行っている。ノックアウトマウスが得られれば、表現型の解析を進める予定である。また、 ホモロジーモデリングと細胞生物学的手法を合わせ、importinα2に特定の転写因子の輸送を阻害するという新たな機能があることを見出した(発表論文、Yasuhara et al. Dev. Cell 2013)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウスの作成は従来の方法で困難であったため、CRISPRを用いた手法に変更した。そのためノックアウトマウスの作成には追加の時間が必要になったが、従来法よりも早くヘテロマウスが作成できたため、おおむね計画通りに進んでいる。合わせてimportinα1の輸送メカニズムの解明を進め、特定の転写因子の輸送を阻害するという新たな機能があることを世界に先駆けて発見した。これにより、発生段階でのimportinα1の機能解析が進むと考えられる。

今後の研究の推進方策

ノックアウトマウスが完成すれば、表現型解析に進む。発生段階で異常が見られた場合、どのような組織の形成にimportinαが関わるかを明らかにし、発生をつかさどるメカニズムの解明につなげる。その際、昨年度に見出したimportinα1の新機能にも着目し、転写因子の輸送制御を中心に研究を行う。

次年度の研究費の使用計画

ノックアウトマウスの作成方法をCRISPRを用いる手法に変えたため、従来法よりも低コストで早く作成することが可能になった。
本年度はノックアウトマウスの完成が見込まれるため、解析に費用を要する。また、各種抗体や核酸合成が必要となるため、未使用分はこれらの費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Structural basis for the selective nuclear import of the C2H2 zinc-finger protein Snail by importin β.2014

    • 著者名/発表者名
      Choi Saehae. Yamashita Eiki, Yasuhara Noriko, Song Jinsue, Son Se‐Young, Won Young Han, Hong Hye Rim, Shin Yoon Sik, Sekimoto Toshihiro, Park Il Yeong, Yoneda Yoshihiro, Lee Soo Jae
    • 雑誌名

      Acta Crystallographica Section D

      巻: 70 ページ: 1050-1060

    • DOI

      24699649

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Importin alpha subtypes determine differential transcription factor localization in embryonic stem cells maintenance.2013

    • 著者名/発表者名
      Noriko Yasuhara, Ryosuke Yamagish, Yoshiyuki Arai, Rashid Mehmood, Chihiro Kimoto, Toshiharu Fujita, Kenichi Touma, Azumi Kaneko, Yasunao Kamikawa, Tetsuji Moriyama, Toshio Yanagida, Hiroki Kaneko, Yoshihiro Yoneda.
    • 雑誌名

      Developmental Cell

      巻: 26 ページ: 123-135

    • DOI

      PMID: 23906064

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

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