研究課題/領域番号 |
24570218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
祐村 恵彦 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70183986)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ダイナミン / 細胞質分裂 / ミオシン / アクチン |
研究概要 |
ダイナミンは,エンドサイトーシスなどの時に細胞膜から小胞を切り離すのに働く重要なタンパク質である。近年,ダイナミンは細胞質分裂にも重要であることが明らかになった。また,ダイナミンの阻害剤は,細胞質分裂をターゲットとした新しいクラスの抗癌剤として注目されてきている。しかし,ダイナミンの細胞質分裂における作用機作の詳細は不明であり,膜輸送だけでなく細胞骨格との関連が必要であると考えられる。本研究では,細胞質分裂におけるダイナミンの機能と,その分子機作を明らかにすることを目的とする。細胞性粘菌では5つのダイナミン様遺伝子が存在するので、すべての遺伝子欠損細胞について検討した。2つのダイナミン欠損細胞ではミオシンIIが分裂時に正常に集合できず,結果的に多核細胞になる。また,新規のダイナミン阻害剤の効果についても調べ、細胞質分裂を阻害することが分かった。ダイナミンがどのようにミオシンIIに関与するのかをライブイメージングによる蛍光観察から詳細に調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画に従い、GFP-ミオシンIIを発現したダイナミン欠損細胞での分裂時のライブイメージングにより,ミオシンIIの集合異常の素過程を調べた。その結果、ミオシンIIは分裂面に量的には正常に集合するものの、分裂面の数カ所に凝集し、分裂溝が正常にできないで、細胞質が分裂面で突出し、最終的に細胞質分裂ができないことが分かった。また、新規のダイナミン阻害剤の細胞質分裂阻害の効果について調べたところ、同じような細胞質分裂異常が見られた。ミオシンIIの動態をさらに詳細に観察するため、現在全反射蛍光顕微鏡により観察しているが、今後そのダイナミクスを定量的に解析する予定である。分裂面にはミオシンIIとともにアクチンも集合するので、ダイナミン欠損細胞でのアクチン繊維の状態についても検討した。その結果、アクチン繊維は分裂面に集合するものの、繊維の長さが短くなっていることが明らかになってきた。ダイナミンの細胞内分布について、蛍光抗体法を用いて調べた。その結果、ダイナミンの2つについて分裂面に局在することが明らかになった。さらにダイナミンのライブイメージングを行なうため、GFP-ダイナミンベクターを作成し、細胞に発現させたところ、分裂面に集合することが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
ダイナミンは自己集合してらせん構造を形成する。ダイナミン分子の動態を1分子もしくは超分子レベルで追跡することで,分裂面でのダイナミンの自己集合の詳細を明らかにする。これらの観察には,全反射蛍光顕微鏡を用いる。また、ダイナミンが直接ミオシンと結合できるかについて検討する。これまでの研究で、アクチン繊維に作用する可能性が出てきたので、こちらについても検討する。また、脂質の動態を新たに開発された脂溶性の蛍光色素を用いて研究する。また,膜タンパク質の分裂時の動態は細胞膜タンパク質(複数を予定)にGFPを標識して可視化する。これらのプローブにより,分裂時における細胞膜の流れ,分裂面での膜成分の動態,細胞内部での膜のトラフィキングの様子を可視化する。さらにダイナミン欠損細胞での分裂時における膜の動態について調べ,ダイナミンの分裂時における膜動態への関与を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に当該研究費が生じた理由:従来あったストックの消耗品,薬品のほうから使用したため,計画より出費が減った。また,論文投稿料が必要ない専門誌に論文を掲載したため,この分も出費が減った。画像処理のアルバイトも,現在のところ自前でできる程度であったので,出費を抑えた。 今後の使用計画:細胞培養薬品類、プラスチック消耗品、分子生物試薬類、蛍光試薬類、顕微鏡関連消耗品、一般試薬類など消耗品と、成果発表のための旅費、画像処理関連のアルバイト代、論文投稿料に使用する。
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