細胞内の小器官である小胞体は蛋白質新生と輸送開始の場所であるとともに、細胞内の情報発信の役割も担う。本研究は小胞体が発するシグナルのうち、細胞の運命制御に関わり、骨格筋前駆細胞が骨格筋細胞に分化する過程で機能しているものに焦点を当てた。前駆細胞が融合して巨大な筋細胞に変化する直前に小胞体からカルシウムが流出することを見出した。その結果小胞体内に生ずるストレス状態(小胞体ストレス)がストレスセンサーであるATF6を活性化させ、さらにはカスパーゼを活性化させていることが示唆された。また、小胞体ストレス特異的カスパーゼとして私たちが同定したカスパーゼ12は特異的な基質を持つ可能性を見出した。
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