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2013 年度 実施状況報告書

走化性情報システムの理解を目指した細胞極性、運動の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24570224
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

上村 陽一郎  独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (20321599)

キーワード走化性 / 細胞極性 / 細胞運動 / TorC2 / PKB / Ras
研究概要

本研究は、走化性における細胞極性形成と細胞運動の分子機構について細胞性粘菌のTorC2-PDK-PKB(以下、TPP)モジュールを中心とした解析から明らかにしようとするものである。そこで、当該年度では以下の研究を実施した。走化性物質刺激による一過的な応答は適応反応とよばれ、細胞極性の形成と深く関わりをもつと考えられている。TPPモジュールは低分子量タンパク質RasCにより制御されている。また、RasC自体も走化性物質により一過的にGTP結合型となる。この機構を試験管内で再構成するため、蛍光ラベルされたグアニンヌクレオチドアナログと蛍光相関分光法を用い、RasCへのヌクレオチド結合状態を評価する測定系を構築できた。さらにTPPモジュールの細胞内での動態を調べるため、各因子に蛍光タンパク質を付加し発現させた。TorC2複合体、AleA複合体は主に細胞質に局在が見られ、一方、PKBR1は強く、RasCは弱く細胞膜に結合していた。また、これらの因子について全反射顕微鏡による一分子解析も同時に進行しており、PKBR1、RasCについて細胞膜上の拡散係数と膜からの解離定数を導出した。更に,本研究を実施中に、TPPモジュールの上流にある三量体Gタンパク質と相互作用する新規の因子を発見し、GIP1と命名した。Gip1破壊株の解析からこの因子が走化性に重要な機能を有することが明らかになった。現在、この因子が走化性において細胞極性や細胞運動にどのように関与しているか調べている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞極性と適応反応については、低分子量Gタンパク質RasCの活性状態を試験管内で検出する実験系を確立した。また、TPP経路の上流で機能するGip1を新規に見いだした。この因子を解析することで、細胞極性について新たな知見が得られると考えられた。更に、TPPモジュールの生細胞における観察系と、全反射顕微鏡を用いた定量データの取得もおおむね予定通り進行している。

今後の研究の推進方策

TPP経路の解析については、そのGapを同定し、GEFとGAP活性がどのように制御されているか調べていく。また、本研究遂行中に新たに同定したGip1は、走化性において重要な機能を持つことが示唆された。この因子の発見は予定外であったが、より詳細に解析することで、走化性における細胞極性あるいは細胞運動への理解が進むものと期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 走化性シグナル経路を制御する新規因子の同定

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎
    • 学会等名
      第3回日本細胞性粘菌学会年会
    • 発表場所
      京都府、京都大学
  • [学会発表] 新規三量体Gタンパク質結合因子の走化性における役割

    • 著者名/発表者名
      上村陽一郎
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      兵庫県、神戸ポートアイランド、神戸国際展示場

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公開日: 2015-05-28  

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