研究課題/領域番号 |
24570227
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
岩本 政明 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所バイオICT研究室, 主任研究員 (80450683)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 核膜孔複合体 / ヌクレオポリン / マススペクトロメトリー / 2核性 / 繊毛虫 / テトラヒメナ |
研究概要 |
繊毛虫は、2種類の核をもつ二核性細胞である。2 核の分化過程では、核輸送を制御する核膜孔複合体が重要な役割を持つと考えられるが、繊毛虫の核膜孔複合体の構造は大部分が未解明であるため、核分化と核膜孔複合体の関係は明らかになっていない。そこで本研究は、核分化の分子基盤となっている核膜孔複合体因子を見出すことを目的とする。繊毛虫テトラヒメナ(Tetrahymena thermophila)の核膜孔複合体成分(ヌクレオポリン)を同定し、それらの分子機能を解析することによって、核分化に関与するヌクレオポリンの分子種を特定することを目指す。 本年度は、未知のヌクレオポリンの探索を行った。これまでに同定しているテトラヒメナのヌクレオポリンにGFP標識した融合タンパク質を発現する細胞から、抗GFP抗体による免疫沈降と、回収画分のマススペック解析により、ヌクレオポリンと予想されるタンパク質を見出した。さらに、そのタンパク質をコードするcDNAをクローニングして、GFP融合体としてテトラヒメナに発現させることで、核膜孔複合体に局在することを確かめた。その結果、テトラヒメナにも主要なヌクレオポリンは概ね存在し、核膜孔複合体の基本構造は、これまでに研究されている真核モデル生物のそれと類似していることが分かった。本年度の研究結果により、テトラヒメナの核膜孔複合体を構成する成分をほぼ明らかにすることができた。2年目以降はこの成果をもとに、主要なヌクレオポリンの機能解析を行い、大核・小核の核膜孔複合体の構造と機能が異なる理由に迫りたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テトラヒメナのヌクレオポリンの網羅的な同定を24年度および25年度の研究で完了すると計画していたが、24年度終了の段階で、主要なほぼ全てのヌクレオポリンを同定することができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
モデル生物の核膜孔複合体構造を指標として、テトラヒメナの主要なヌクレオポリンのほぼ全てを同定することができたが、テトラヒメナに特異的なヌクレオポリンが存在する可能性も否定できない。したがって、未知のヌクレオポリンの探索は25年度以降も引き続き行なう。一方、同定したヌクレオポリンの中から、核機能の発現に影響すると予想されるものを選び出し、それらの分子機能の解析を行なう。それらをコードする遺伝子をノックアウトあるいはノックダウンすることで、核機能と核分化に現れる影響を調べる。また、内在の遺伝子にGFP標識を付加した細胞において生細胞蛍光観察を行なって、生細胞内での当該ヌクレオポリンの挙動、特に核分化過程における局在変化の様子を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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