ほ乳類の中で有袋類は、有胎盤類と比べて未熟な状態で生まれ、保育嚢まで移動し、母乳で成長するために、前肢や顎等の器官が早く発生する。この発生様式の時間的変更メカニズムを明らかにするため、有袋類のオポッサムを用い、顎原基を形成する頭部神経堤細胞の発生について解析した。その結果、マウスやニワトリと比較して、Sox9遺伝子の頭部神経堤領域での発現が早くから始まり、かつ顎原基で継続することがわかった(Wakamatsu et al., 2014)。また、Sox9の神経堤エンハンサーに発見された有袋類特異的変異が、頭部神経堤でのSox9の早期の発現に重要であることが示めされた。
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