研究課題/領域番号 |
24570235
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山口 正晃 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (60182458)
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キーワード | sea urchin / Peronella japonica / adult rudiment / Hox complex / body plan |
研究概要 |
本研究の全体構想は、棘皮動物の進化をHox遺伝子複合体の機能解析をとおして理解することである。棘皮動物は五放射相称という特異なボディープランをもち、その体制は幼生の成体原基でつくられる。複数のグループがウニ成体原基でのhox遺伝子発現をしらべてきたが、その情報はいまだに断片的である。申請者は直接発生種ヨツアナカシパンを材料として、WMISH法によって世界で初めてhox遺伝子発現の全貌を明らかにした。本研究はこの先進性を機能解析によって進展させ、五放射体制の発生メカニズムを明らかにするとともに、五放射の基礎の局在(外胚葉か中胚葉か)を特定することを目的としている。 ヨツアナカシパン幼生の羊膜陥(成体外胚葉)においてhox1, hox5, otxが五放射状に発現する。一方、単離した動物半球は羊膜陥をつくり、そこでhox1とhox5が発現するが、otxは発現しない。その後、羊膜陥は細胞死を起こす。この観察はhox1とhox5の発現が自律的であることを示すとともに、成体原基において中胚葉から放出されるシグナルがotx発現と羊膜陥の成長維持に必要であることを示唆している。ゲノム解読されているウニStrongylocentrotus purpuratusからシグナル伝達遺伝子を選抜し、その配列を用いてヨツアナカシパン幼生のトランスクリプトーム情報をBLAST検索した。次にそのヨツアナカシパンbest hit配列を用いてStrongylocentrotus purpuratusゲノムをBLAST検索し、reciprocal best hitする53遺伝子を選抜した。これらの遺伝子の発現部位を解析することによって、外胚葉-中胚葉相互作用に関わる経路を検索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モルフォリノオリゴによるhox遺伝子ノックダウンの表現型が得られていない。体腔でlinearに発現する5つのhox遺伝子は成体の消化管の部域化を調節する位置情報を与えていると予想している。成体の消化管の分化は変態後に始まり、口-食道-腸-大腸-肛門が完成するまで数週間要する。変態後の稚ウニの飼育方法を確立する必要がある。 一方、ヨツアナカシパン幼生のトランスクリプトーム情報を用いたシグナル伝達関連遺伝子の検索は予定どおり進んでおり、それらの発現をWMISHで解析している。
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今後の研究の推進方策 |
シグナル伝達関連遺伝子のWMISH検索によってfgfaが羊膜陥外胚葉で発現していることを見いだした。そこで、FGFシグナル径路阻害剤U0126で経時的に処理した胚の表現型を形態とマーカー遺伝子発現によって解析した。発生初期(原腸胚まで)から処理した胚では幼生骨片の形成と伸長が阻害された。成体原基形成期(プリズム幼生以降)に処理すると、羊膜陥は対照胚と同様に形成されたが、歯嚢と棘の形成が阻害され、それらのマーカーであるhox3の発現も消失/減少した。この観察は、外胚葉から中胚葉へのFGFシグナリングが幼生だけでなく成体の骨形成を調節していることを示唆している。今後、fgfaとfgfrの全長cDNAを単離し、TALEN法によってそれぞれのノックアウト胚を作成し、その表現型を形態とFGFシグナリング下流遺伝子発現から解析することを計画している。
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