緻密な運動制御に重要な小脳神経の変性は、重篤な運動失調を生じる。根治療法のない脊髄小脳変性症を視野に、ヒトES・iPS細胞から小脳神経細胞の分化誘導を行い、ヒト由来細胞の疾患モデル化による疾患の原因究明や創薬へ結びつける。3次元浮遊培養による分化誘導で培養初期のFgf2の添加は、培地含有のインスリンとの協調作用により、菱脳峡オーガナイザーを形成し、自律的な小脳神経細胞、特にプルキンエ細胞や顆粒細胞などの効率的な分化を誘導した。培養途中でのFgf19およびCXCL12の添加は極性を伴った小脳組織の構築に寄与した。本研究によって、ヒトES・iPS細胞から小脳神経細胞の誘導と組織構築に成功した。
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