研究課題
基盤研究(C)
本研究は、脊椎動物の発生過程の進化的多様性を分子データにより定量・解析するのみならず、発生段階のばらつき、そしてヘテロクロニックなシフトまでを視野に入れた研究である。特に既にデータとして取得済みのX. laevisの発生時系列遺伝子発現プロファイルと、本研究で得られるX. tropicalisの発生時系列遺伝子発現プロファイルの比較解析を行うことで、個体発生と系統発生の関係性解明において、重要な試金石となることが期待される。また今回の対象種は変態期が存在し、これが別種の四足動物の発生過程とどのように対応するかについても非常に興味深い。また、近縁種間での発生砂時計モデルの検証は重要な焦点である。本年度は、実験対象動物であるX. tropicalisの飼育システムを立ち上げ、交配、そして初期胚から後期胚、加えて変態後の発生段階の個体同定とサンプリングを行った。統計的母集団が一般的な野生型胚となるよう、親の異なる生物学的反復データの蓄積も進めており、上記研究のねらいと一致するデータ、そして結果を得るための工夫をしている。本年度は、さらに発生段階に応じた核酸(mRNA)の抽出と精製に成功、順次遺伝子発現プロファイルの測定を進めている。特に変態後の発生(発達)段階までサンプリング、ならびに解析を広げることにより、ネオテニー等、進化の重要な仮説を検証することも可能となることが期待される。
2: おおむね順調に進展している
変態後の発生段階の胚を取得するまでに相当時間要することを見積もっていたが、そうした発生段階のサンプリングも無事終了しており、非常に順調に進展していると言える。
今後は、得られた各発生段階のmRNAサンプルより、遺伝子発現プロファイルの同定を行う。これには近年急速に高性能化・低価格化が進む超並列シーケンサーの利用も視野にいれて進める。また得られた遺伝子発現プロファイルを異種間のデータと比較したり、個体間でのばらつきを測定したりすることで、発生段階ごとにどういった遺伝子発現プロファイル上の差異が存在するのか、そしてそれが進化と発生の関係性を説明する発生砂時計モデルとどのような関係性にあるのかについて考察する。
主に遺伝子発現プロファイルの同定のために、大部分の予算を使う予定である。マイクロアレイ、あるいは超並列シーケンサーによる遺伝子発現プロファイルの同定である。これに伴い、年次ごとに分けて遺伝子発現プロファイリングを進めるのではなく、2年目に一気に進めることとしたため、次年度使用額が発生している。
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Nature Genetics
巻: 45 ページ: 701-706
10.1038/ng.2615