研究課題/領域番号 |
24570243
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
入江 直樹 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10536121)
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キーワード | 進化発生学 / 発生 / 進化 / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
本研究は、X. tropicalisとX. leavisをモデル動物とし、脊椎動物発生過程の進化的多様性、並びに発生段階のヘテロクロニックなシフト(異時性)を分子レベルから記述・検証しようとするものである。 昨年度までに我々はX.laevis と X. tropicalisの飼育・サンプリングを進め、初期胚(2細胞期)から後期胚までのRNAサンプルを得た。今年度は、これらサンプルをIllumina社のHiseqシステムを用いたRNAseqを行う事で、遺伝子発現プロファイルの包括的解析を行い、研究の中心となる基盤データを得た。本研究では、変態後の発生段階までカバーしており、本研究以外の研究でも活かされることが期待できる。 本年度は、発生時系列遺伝子発現プロファイリングを行い、基礎的解析を行った。今後、さらなる解析を進めることで、進化的に同等な(共通祖先の同等の段階から派生したと考えられる)発生段階の同定などを進める予定である。 また、解析終了後は公開データベースに登録し、広く一般に使用可能な基礎的データとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗は順調である。サンプリングしたtotal RNAのクオリティも高く、シーケンシング後のデータも十分に解析に耐える高い品質であった。 一方で、基礎解析を進めたところ、X. laevisのアノテーション(特に遺伝子予測)が十分に高いクオリティーとは言えないことが判明した。 進化的に相同な遺伝子を定義し、正確な研究を進める上では必要な作業であるため、多少時間がかかっても行う予定である。 また、ゲノムのアセンブルは難しいものの、取得したRNAデータによりアノテーションの精度を上げる作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた初期胚から後期胚までのX. tropicalisと X. laevisの全胚由来遺伝子発現プロファイルの解析を進めることとする。 解析は、Xenopus2種の比較解析にとどまらず、すでに手元にある別種の四足動物の遺伝子発現プロファイルと比べることで、カエルのオタマジャクシに発生段階が四足動物のどの発生段階にもっとも対応すると言えるのか?進化的共通祖先の発生段階を仮想的におき、それと照らし合わせた場合にどのようなことが言えるのか。また、脊椎動物では発生砂時計モデルが成立すると言われているが、保存されたファイロティピック段階との対応関係などについても解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
・研究実施場所の変更(代表者は2013年8月に東京大学に異動)により、一旦実験動物の飼育を止めて、再開するための時間が必要となったことで、本年度実施予定であった発生学的研究関連試薬を購入しなかったため。 ・今年度実施しなかった発生学的研究関連試薬を購入する予算に充てる。
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