発生過程で伸長中の軸索が、ガイダンス分子に対する応答性を正しい場所・タイミングで切替える分子基盤を研究した。腹側正中線は、神経系全体の発生に影響を及ぼしつつ、軸索に対し重要な中間標的として機能する。軸索は、正中線を通り超えるか、超えないかの、二者選択を迫られ、超える場合は一度きりである。一度きりの正中線交叉の基盤となるのが、反発性ガイダンス分子Slitに対する軸索応答性のスイッチと想定される。本研究では、Arf低分子量G蛋白質、特にArf6とその活性化因子群が、Slit応答性スイッチを正負に制御する仕組みを解明した。この仕組みが一度きりの正中線交叉を保証すると考えられる。
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