硬骨魚類のZP遺伝子は、進化過程で発現領域が変化している。早くに分岐したカライワシ類では、卵巣で合成される。その後、正真骨魚類とニシン・骨鰾類の共通祖先で発現場所が変化して、正真骨魚類では肝臓で、ニシン目では、ZP遺伝子cDNAが両方の組織からクローン化されるが、骨鰾上目の魚では、ZP遺伝子の発現は卵巣が主になる。一方、孵化酵素は、ニシン・骨鰾類の共通祖先で遺伝子重複により2種の遺伝子が生じ、正真骨魚は、2つの遺伝子を保持している。一方、ニシン・骨鰾類では、骨鰾類に至る過程で、1つの遺伝子が失われている。つまり、卵膜遺伝子発現場所の進化過程の変化は、孵化酵素遺伝子の重複・喪失の時期と一致する。
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