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2012 年度 実施状況報告書

脊索動物門誕生の基盤研究:脊索形質獲得の進化発生学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 24570251
研究種目

基盤研究(C)

研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

高橋 弘樹  基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 助教 (40283585)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際情報交換
研究概要

脊索は脊椎動物体制における中軸器官であると同時に、脊索動物を特徴づける最も重要な形質である。したがって、脊索形成の分子メカニズムの解明は脊椎動物体制構築の解明につながると同時に、脊索動物進化のメカニズムの理解にも直結する。脊索形成にはT-box転写因子であるBrachyuryが重要な役割を果たす。しかし、Brachyuryの役割は脊索形成に特化したものではなく、もともと原腸形成に関連した役割を持っていたものが、脊索動物の進化の際に脊索形成に関わったものと考えられる。そこで、まず脊索動物門(ホヤ、ナメクジウオ)の脊索形質の分子的基盤を明らかにする。次に脊索動物門と脊索を持たない近縁の半索動物・棘皮動物(ギボシムシ)のBrachyuryターゲット遺伝子群を明らかにする。さらに、脊索遺伝子群発現制御ネットワーク進化の解明を目指し、脊索動物門誕生の分子的基盤に迫る。
A. 脊索動物の脊索形質の分子的基盤(RNA-Seq解析): 脊索動物門の共有派生形質である脊索細胞の分子的基盤を明らかにするために、RNA-Seq解析を進めている。脊索動物門誕生の進化プロセスを解明する際に鍵となる祖先的な動物群である成体のナメクジウオの脊索細胞を高純度で顕微鏡下での単離しRNA-Seq解析に成功した。
B. 新口動物群のBrachyruyターゲット遺伝子群のゲノムワイド解析(ChIP-Seq解析): ホヤ、ナメクジウオ(脊索動物)とギボシムシ(半索動物)のBrachyury遺伝子に対するChIP可能な抗体を得るためにポリクローナル抗体を作製した。各生物種のBrachyuryが発現するステージの胚を集めてChIP-Seq解析により各生物種のBrachyruyターゲット遺伝子群と発現調節領域をゲノムワイドに同定する。現在、各生物種のBrachyruy抗体を用いてChIPの条件検討を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度にはホヤBrachyuryに対する各生物種に対するな抗体の作成を進めてChIPの実験条件の検討を進めている。また、モデル生物として実験系が確立していないナメクジウオは7-8月にギボシムシは11-12月にそれぞれの胚のサンプリング期間が限られているので、ChIP解析に必要なゲノム情報が利用可能なフロリダナメクジウオの胚サンプルを確保することは難しく十分量の胚サンプルを確保することが極めて重要である。ナメクジウオとギボシムシの産卵シーズンに精力的に胚サンプルを採集し、ほぼChIP解析に十分量の胚サンプルを確保するに至っている。さらにChIP-Seq解析の結果、明らかになるターゲット遺伝子群のin situハイブリダイゼーションにより発現パターン解析をするための胚サンプルを確保する必要があるので、胚サンプルの採集を、当初の実験計画に沿っておおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

ナメクジウオの脊索発現遺伝子解析をすると同時に、ホヤの原腸胚期、神経胚期、尾芽胚期の脊索細胞に発現する脊索遺伝子群のRNA-Seq解析を進める。脊索に発現を制御するBrachyruy遺伝子ネットワーク解析(遺伝子ネットワーク解析):脊索動物門の脊索形成にはBrachyuryが重要な役割を果たす。しかし、Brachyuryの役割は脊索形成に特化したものではなく、もともと原腸形成に関連した役割を持っていたものが、脊索動物の進化の際に脊索形成に関わったものと考えられる。そこで、脊索動物門のBrachyury遺伝子が脊索細胞に発現を制御するネットワーク進化の解析に着手する。Brachyuryのこれまでの研究から、脊索動物(メダカ、ナメクジウオ)では原口と脊索でBrachyuryの発現を制御する遺伝子ネットワークが異なることが考えられる。まず、メダカとナメクジウオのBrachyuryレポーターコンストラクトを使って原口と脊索でのそれぞれの発現を制御する上流領域を同定することを目指す。また、ギボシムシ、ウニの原口でBrachyuryの発現を制御する上流領域を同定することを試みる。Brachyuryの発現を制御する遺伝子導入解析にはエレクトロポレーションによる遺伝子導入が容易で数多くのコンストラクトを同時に解析することが可能であるホヤの実験系を最大限に活用する。さらに、遺伝子導入が可能なメダカ、ウニ、ナメクジウオ胚を用いて解析実験を行ない、脊索に発現を制御するBrachyury遺伝子ネットワーク進化の解明を目指す。

次年度の研究費の使用計画

今年度からA. 脊索動物の脊索形質の分子的基盤(RNA-Seq解析)、B. 新口動物群のBrachyruyターゲット遺伝子群のゲノムワイド解析(ChIP-Seq解析)、の解析を展開すると同時に、C.脊索形質獲得の遺伝子ネットワークの進化(遺伝子ネットワーク解析)についての研究を開始しする。これまでの脊索形質の分子的基盤(RNA-Seq解析)、Brachyuryターゲット遺伝子群のゲノムワイド解析(ChIP-Seq解析)のシークエンス試薬等に研究費を使用予定である。および脊索に発現を制御するBrachyury遺伝子ネットワークの解析から得られた研究の進展を考えながら、更に研究を展開して脊索形質獲得の遺伝子ネットワークの進化プロセスの解明に迫る。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] How was the notochord born?2012

    • 著者名/発表者名
      Satoh, N., Tagawa, K., Takahashi, H.
    • 雑誌名

      Evol Dev.

      巻: 14 ページ: 56-75

    • DOI

      10.1111/j.1525-142X.2011.00522.x

    • 査読あり
  • [学会発表] 脊索動物におけるCalcitonin /Calcitonin gene-related peptide family の分子進化2012

    • 著者名/発表者名
      関口俊男、高橋弘樹、小笠原道生、桑迫健二、笹山雄一、佐竹炎、鈴木信雄
    • 学会等名
      日本比較内分泌学会
    • 発表場所
      福井大学文京キャンパス、福井県
    • 年月日
      20121130-20121201
  • [学会発表] ナメクジウオにおけるカルシトニン受容体と受容体共役蛋白質(RAMP)の分子機能2012

    • 著者名/発表者名
      関口俊男、高橋弘樹、小笠原道生、桑迫健二、鈴木信雄、笹山雄一、佐竹炎
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 発表場所
      大阪大学、大阪府
    • 年月日
      20120913-20120915
  • [備考] 基礎生物学研究所 形態形成研究部門 研究概要(ホヤグループ)

    • URL

      http://www.nibb.ac.jp/morphgen/summary/hoya.html

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公開日: 2014-07-24  

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