研究課題
脊索は脊椎動物体制における中軸器官であるとともに脊索動物を特徴づける最も重要な形質である。したがって、脊索形成の分子メカニズムの解明は脊椎動物体制構築の解明につながると同時に、脊索動物進化のメカニズムの理解にも直結する。脊索形成にはT-box転写因子であるBrachyuryが重要な役割を果たす。しかし、これまでの研究からBrachyuryの役割は脊索形成に特化したものではなく、もともと原腸形成に関連した役割を持っていたものが、脊索動物の進化の際に脊索形成に関わったものと考えられる。特に頭索動物ナメクジウオは脊索動物で最も祖先的な形質を保持していると考えられており、脊索動物門の誕生を理解する上で欠かせない動物群である。しかし、ナメクジウオは生存個体数が少ない希少種であり産卵は年一度であるなど初期発生の実験動物として用いる際の障害が非常に大きい。そこで、まずはナメクジウオ成体の脊索・筋肉・神経索をそれぞれ単離してRNA-Seq解析を行い、各組織の分子的基盤となる遺伝子群を比較解析することに成功した。さらに、ナメクジウオのゲノムを用いてBrachyuryの発現制御機構の解析を進めた。発現調節領域の解析にはすでに実験系が確立している近縁の尾索動物であるカタユウレイボヤを用いて行った。その結果、ナメクジウオBrachyuryの上流領域には筋肉での発現を制御する領域が存在すること、また、Brachyuryのイントロン領域には複数の脊索で発現を制御する領域が存在することが示唆された。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Genesis
巻: 52 ページ: 925-934
10.1002/dvg.22831
http://www.nibb.ac.jp/morohogen/summary/hoya.html