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2013 年度 実施状況報告書

深海性二枚貝シロウリガイ類の共生系の進化

研究課題

研究課題/領域番号 24570252
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

吉田 尊雄  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (60399566)

キーワード共生 / 共進化 / ゲノム縮小
研究概要

深海性二枚貝シロウリガイ類の鰓細胞内には化学合成細菌(以後共生菌と呼ぶ)が共生し卵を介して伝達される。共生菌は細胞内共生によりゲノムが縮小し、その痕跡がゲノム上に見られる。シロウリガイ類は、祖先系は1つで宿主と共生菌から共進化していると考えられているが、宿主側の信頼性の高い系統関係を示すデータはない。共生菌のゲノム縮小の過程を明らかにするためには、宿主の系統関係を明らかにした上で議論することが鍵となる。本研究では、シロウリガイ類のミトコンドリア全配列と共生菌のいくつかの遺伝子配列を決定して、宿主と共生菌の系統関係を明らかにした上で、共生菌のゲノム縮小進化の関係を明らかにすることを目的とする。
今年度は、昨年度から継続している、日本や北太平洋に生息する11種のシロウリガイ類の宿主についてミトコンドリアゲノム配列を基に系統関係を明らかにした。既にミトコンドリアゲノム全長を決定したナギナタシロウリガイ及びシマイシロウリガイ2種の配列から共通のプライマーを作成し、残りの9種のシロウリガイについて、15種類中、11種類の遺伝子配列を決定した。得られた遺伝子配列を連結した配列基に、RAxMLとMrBayesを用いて系統樹を作成した。
共生菌については、8種類(GroEL,GroES,GyrB,16S, 23S, Mfd, UvrD, UvrA)の遺伝子全長配列を決定し、得られた遺伝子配列を連結した配列基に、RAxMLとMrBayesを用いて系統樹を作成した。
その結果、宿主の系統樹と共生菌の信頼性の高い系統樹が作成でき、それらを比較すると、一部の種については、宿主と共生菌の分岐の支持が高く系統関係が共種分化を示す系統樹となった。また、一部の種については、共種分化を示さない結果となった。今後は、これらの情報を基に、共生菌のゲノム縮小について調べる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シロウリガイの宿主と共生菌の信頼性の高い系統樹が作成できた。サンプルのシーケンスに適したライブラリー作りができていないため、共生菌のゲノム縮小に伴うゲノムの変化をみるためのシーケンスが遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は、シロウリガイの共生菌のゲノムシーケンスを中心に進める。

次年度の研究費の使用計画

シーケンス解析が遅れたため試薬試薬消耗品、関連物品購入をしなかったため。
今後、シーケンス解析など必要な試薬消耗品、関連物品を購入予定。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Exclusive localization of carbonic anhydrase in bacteriocytes of the deep-sea clam Calyptogena okutanii with thioautotrophic symbiotic bacteria.2013

    • 著者名/発表者名
      Yuki Hongo, Yoshimitsu Nakamura, Shigeru Shimamura, Yoshihiro Takaki, Katsuyuki Uematsu, Takashi Toyofuku, Hisako Hirayama, Ken Takai, Masatoshi Nakazawa, Tadashi Maruyama, Takao Yoshida
    • 雑誌名

      The Journal of Experimental Biology

      巻: 216 ページ: 4403-4414

    • DOI

      10.1242/jeb.092809

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 化学合成生態系における動物と化学合成細菌との共生2013

    • 著者名/発表者名
      高木善弘・吉田尊雄
    • 雑誌名

      生物の科学 遺伝

      巻: 67 ページ: 482 - 489

  • [学会発表] Cospeciation of deep-sea Calyptogena clams and chemoautotrophic bacteria2013

    • 著者名/発表者名
      Genki Ozawa, Takashi Kaneko, Shigeru Shimamura,Yoshihiro Takaki, Shin-ichi Yokobori, Takeshi Koshiishi, Chiaki Kato, Tadashi Maruyama, Takao Yoshida
    • 学会等名
      5th International Symposium on Chemosynthesis-Based Ecosystems
    • 発表場所
      Victoria Conference Centre, Victoria, Canada
    • 年月日
      20130818-20130823
  • [学会発表] Heterogeneous subpopulations of thioautotrophic intracellular symbiont in a deep-sea mussel, Bathymodiolus septemdierum, and their patchy distribution in the host gill.2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuro Ikuta, Yoshihiro Takaki, Shigeru Shimamura, Tadashi Maruyama, Takao Yoshida
    • 学会等名
      5th International Symposium on Chemosynthesis-Based Ecosystems
    • 発表場所
      Victoria Conference Centre, Victoria, Canada
    • 年月日
      20130818-20130823
  • [学会発表] The genomes of intracellur symbionts in deep-sea Calyptogena clams are still in an early phase of reductive genome evolution.2013

    • 著者名/発表者名
      Takao Yoshida, Yoshihiro Takaki, Shigeru Shimamura, Yukiko Nagai, Miwako Tsuda, Masatoshi Tsukahara, Maiko Nezuo, Makiko Shimoji, Kuniko Teruya, Morimi Teruya, Tadashi Maruyama
    • 学会等名
      5th International Symposium on Chemosynthesis-Based Ecosystems
    • 発表場所
      Victoria Conference Centre, Victoria, Canada
    • 年月日
      20130818-20130823

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公開日: 2015-05-28  

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