研究課題
平成25年度は、前年度にひきつづき、ハノイのベトナム考古学研究所を訪問し、同研究所所蔵のベトナム更新世から産出した霊長類化石(特にオランウータン、テナガザル)について観察、計測、写真撮影をおこなうとともに、標本登録作業を進めた。また、考古学研究所の研究員からの要請に応じて、ベトナム・ロシア合同野外調査で採集された霊長類化石の同定にも協力した。ベトナム以外にも、タイでは、協力関係にあるタイ東北部のコラート珪化木博物館から、同博物館のあるナコンラチャシマ市近郊から類人猿らしい化石が新たに出土したとの連絡を受け、12月にコラート珪化木博物館を訪問した。同館研究員らとともに新発見の化石を調査した結果、かなり大型の類人猿の顎化石で間違いないことを確認した。また、この類人猿化石と同じ地点から、ゾウを中心とする他の脊椎動物化石も相当数出土していることもわかった。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度には、ベトナム考古学研究所に1週間滞在し、前年度に引き続き標本の登録を進めた。滞在中、研究所副所長、研究員らと話し合いをおこない、今後も研究協力を進めていくことを確認した。また、これまでにベトナム更新世の洞窟遺跡から出土したオランウータン、テナガザル化石を中心に霊長類化石の観察、計測、写真撮影を実施し、データを集めることができた。さらに、タイ東北部から大型類人猿化石が出土したという情報が、長年に亘って培ってきたタイとの研究協力体制を通じてもたらされ、その新たに発見された化石標本を研究する機会を得た。これについては、通常の観察、計測、写真撮影に加え、CT撮像データも収集することもできた。
化石、特に霊長類化石の発見は予測が非常に困難であるため、本計画においては、これまでにベトナム更新世から出土していた霊長類化石の分析に重点をおいてきた。しかし、平成25年度にタイ東北部において大型類人猿化石が新たに出土した。以前より同地域でおこなってきた調査に基づけば化石の年代が中新世にまで遡る可能性が高く、東南アジアにおけるヒト上科の進化を研究する上できわめて重要な標本である。そのため、平成26年度はタイで新たに発見された類人猿化石の分析に重点をおいて研究を進める予定である。類人猿化石そのものの分析だけでなく、共産する他の動物化石の分析も急務であるため、他の研究者にも協力を仰いでいる。化石を日本に持ち出すのは困難であるため、研究協力者には、必要に応じて現地に出張してもらう予定である。ベトナム更新世霊長類化石に関しても、平成24、25年度に収集したデータを分析し、公表を目指す。
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Mechanism of Sedimentary Basin Formation - Multidisciplinary Approach on Active Plate Margins
巻: edited book ページ: 83-108
0.5772/56804