研究課題/領域番号 |
24570257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 株式会社林原類人猿研究センター |
研究代表者 |
田代 靖子 株式会社林原類人猿研究センター, 生態・社会学研究部, 研究員 (60379013)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロエストモンキー / オナガザル / 社会行動 / 遺伝子 / 単雄複雌群 / ウガンダ |
研究概要 |
ウガンダ共和国カリンズ森林において、ロエストモンキー(Cercopithecus lhoesti)を対象とした野外調査をおこなった。 調査対象群の全個体を個体識別し、個体追跡法によって社会学的データを収集した。収集したデータは①グルーミングの相手と方向、②他個体への接近、③攻撃的交渉である。予備的な分析によって、母子間でのグルーミング交渉の頻度が高いことが明らかになった。 ロエストモンキーは単雄複雌群を形成しており、オスが群れを移出入しメスが生まれた群れで一生を過ごすと考えられるが、それを支持する観察結果が得られた。前年度まで群れにいた若いオスが消失し、オトナオスは別のオスに交代していた。また、ほぼオトナオスと同じサイズに成長した若いオスが、オトナオスに追い出される場面も観察した。さらに、前年度まではいなかった若いオスが群れに移入していることを確認し、オスの移入がオトナ期だけではなく若いオスの時期にも起こることが明らかになった。 調査中、全個体について糞試料を収集した。この糞からDNAを抽出し、個体間の血縁関係を明らかにする予定であり、一部の個体については良質のDNA資料が収集できたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象群の個体識別は完全におこなわれており、現地調査助手による観察も継続している。これまでは難しかった個体追跡法に基づくデータ収集も可能になり、個体による遊動パターンの違いがGPSデータを使って明らかにできると考えている。また、DNA試料が全個体について収集できたため、遺伝学的解析の基盤が整った。DNA試料の一部については、塩基配列の解析まで進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は所属研究期間の閉鎖により、当初予定していた期間に当研究課題助成金による渡航ができなかったが、研究代表者が分担者として参加している課題による海外調査を遂行し、合わせてデータを収集した。平成25年度は、当研究課題助成金による海外調査を9月から11月に予定している。引き続き、研究対象群について社会学的データを収集し、個体間関係やオスとメスの行動の違いを明らかにする。また、DNA試料の解析を進め、群れ内の血縁関係を明らかにする予定である。研究の成果は、学会において発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
約3ヶ月の海外調査を予定している。渡航に際して、航空券、日当・宿泊費、現地調査助手の給料に助成金を使用する予定である。また、研究成果を日本アフリカ学会学術大会、日本霊長類学会大会において発表するための出張旅費として使用する。その他、消耗品として、調査に必要な文具類、遺伝子解析に必要な薬品・消耗品を購入予定である。
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